Groovin' by Morris のTG-60。見た目はテレキャスター(エレキ・ギター)ですが、ナイロン弦を使用するソリッド・ボディーのエレ・ガットなので、アンプから出力される音はガット・ギターという演奏している様子をはたから見ると、不思議な感覚になるギターです。
このギターを入手したのは20代前半の頃。
当時ロックからフュージョンというジャンルに目覚め、国内・国外を問わずフュージョン音楽を聴きまくっていた頃に、リー・リトナー(Gt ※)、ボブ・ジェームス(Kb)、ネイザン・イースト(Ba)、ハーヴィー・メイソン(Dr)という超一流アーティストが組んだフュージョン・バンド“フォープレイ”の『イブニング・オブ・フォープレイ』という映像作品に出会いました。(※現在のフォープレイのギターはチャック・ローブです)
この映像作品のことを書きだしたら、今回の主役であるギターの話のことが書けなくなるので省略しますが、この映像作品でリー・リトナーがテレキャスター・タイプののスソリッド・ボディーのエレ・ガットを数曲で使用していて、その音と演奏している佇まいがすごく格好良かったんですよね…。
その後の展開はご推察のとおりで、その映像作品をきっかけに、ソリッド・ボディーのエレ・ガットが欲しくなりまして(^^;)。
とはいえ、リトナーが弾いていたエレ・ガットというのがサドウスキー製のもので…下世話な話、メチャクチャお高い。たしか当時定価ベースで60万円くらいだったかな。
そもそもエレ・ガットを使用するような楽曲を演奏することなんて滅多になく、単なるミーハー精神で欲しかっただけなので、滅多に使用しないであろうギターにその金額は出せないな(だいたいメインで使っているエレキ・ギターですら、そんな金額出してないし…)ってなことで、一度は“欲しい”という気持ちが消えたんです。
数日後のこと。
たまたまバイト先の楽器店で、モーリスのカタログを見ていたら(遊んでいたわけではなく、商品ラインナップなどを覚えるためです)、テレキャスター・タイプのソリッドのエレ・ガットを見つけました。「おー、モーリスもソリッドのエレ・ガット出してるんだ~。でも、高いんだろうなぁ…」なんて思いつつ定価を見たら…60,000円。
「え?サドウスキーの1/10?」なんて桁間違えて見てないか…と思い何度も見直しましたが、何回見ても定価は60,000円。つい先日あきらめたものが、ぐっと身近な存在として目の前に出てくると“縁”を感じてしまいまして。
そして“縁”とはまことに不思議なもので(おおげさ)。そんな“縁”を感じつつ、スペックの詳細をみながら「これ、いいなぁ~」なんて考えていたまさにそのタイミングで、モーリスを取り扱う会社の営業担当がお店にやってきまして。
なんか、こういう“縁”って、「さぁ、今がお買い時だ!」なんてシチュエーションに感じるじゃないですか…(^^;)。そこで、話をしてみたんです。このエレガットが気になるんですけど…なんて。
そしたら…ですよ。
(営)「あ、そのモデルなら諸般の事情で通常より値打ちに卸せますよ」
(僕)「え…?どのくらい」
(営)「○○で」
(僕)「マジすかッ!」
そこに、僕らのやりとりを横で聞いていた上司が登場し…。
(上)「ところで、それ、今何本あるの?」
(営)「□本です」
(上)「ふ~ん。じゃ、それさ、ウチが“全部”仕入れるからさ、○●にしてよ」
(営)「わかりました。ちょっと時間もらっていいですか…。確認しますから…」
…
その翌々日でしたかね。その会社から□本“ど~ん!”と店に送られてきたのは…。
その□本のうちの1本が、現在手元にあるこのギターってワケです。
※ちなみに、残る△本も、1週間もたたないうちに完売しました。もっとも、ほとんどが我々の知り合いでしたが…(^^;)。