ホームズ物語に登場する人物の中でもバツグンの知名度を誇る女性キャラといえば、アイリーン・アドラー 。
短編の第一作目「ボヘミアの醜聞 」で登場した絶世の美女で元オペラ歌手。ボヘミア国王を強請った女山師。あのホームズを見事に出し抜き、その知性・行動力を認めさせた唯一の女性。ホームズが敬意をこめて「あの女性(ひと)・the woman」と呼ぶ女性。
国王相手に強請るという大胆なことをしでかしているためか、本職の“歌手”よりも女山師の要素を前面に出した…ルパン三世の峰不二子 みたいな感じ…で描かれ方がされてることも多いですね。(映画「シャーロック・ホームズ」シリーズでは知性と行動力と色気で翻弄してるし、TVドラマ「シャーロック」では、さらに過激な要素(18禁)が加わった人物で、あのホームズが肉体的にもボコボコにされてます…)
先日読んだ小説は、そんな人気キャラを主人公にした、こんな作品。
キャロル・ネルソン・ダグラス・著/日暮雅通・訳による「おやすみなさい、ホームズさん」。
アイリーンアドラーが主役の作品で、このタイトル。この時点で“にやり”とさせられちゃいます。(「?」な方は前述した「ボヘミアの醜聞」を、ぜひ。)
この作品でのアイリーン・アドラーは「本職:オペラ歌手/副業:探偵/たまに軽犯罪者」という人物像で描かれているのですが、この設定のバランスが絶妙で、「アイリーン・アドラーの冒険」というサブタイトルにふさわしい大活躍を見せてくれます。
アイリーン・アドラーの名を世に知らしめた「ボヘミアの醜聞」は、アイリーン側から見ると、こういう事情なんです…ってな感じで出てきます。これがまた、なかなかに説得力があるんですよね。あぁ、そういうことならアイリーン応援しちゃおうかなって気になっっちゃう(思うツボ…?^^;)。
表紙の絵は購入するときにちょっと恥ずかしかったけど(^^;)、ホームズ物語のパスティーシュ…というよりはアナザー・ストーリーって感じで非常に楽しく読める小説でした。
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