*ふるさとの* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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今日の日本の歌は、明治40年の三木露風の詩に齋藤佳三(かぞう)が作曲した歌曲

「ふるさとの」

露風の「ふるさと」は、兵庫県揖西郡龍野町(現在のたつの市)。その故郷で19歳の露風は四歳年上の女性(茂代子)と恋に落ちますが、悲恋に終わります。
十年が経ち、人妻となり母となった恋人は同じ気持ちで泣いてくれるだろうかと歌った抒情詩。youtubeで検索してみましたが歌っている人が少なく、創唱者の藤原義江のレコードは雑音が酷く聴くに耐えない。その他も正直言ってこの曲の美しさを十分表現しているとは言い難い。
どなたの歌唱かは分かりませんが、何とか聴けるかなという映像が有りましたのでアップしてみました。

作曲者の斎藤佳三(かぞう・本名佳蔵)は、明治20年(1887)に秋田県由利郡矢島町館町で生まれます。中学校卒業後、音楽家を志して上京。東京音楽学校師範科(現東京芸術大学音楽部)に入学しますが、23歳のとき音楽学校を中退し東京美術学校(現東京藝術大学美術部)に入学します。
音楽学校時代は、詩人川路柳虹、劇作家小山内薫、音楽家山田耕筰、演出家土方与志、詩人北原白秋、吉井勇、三木露風、西条八十などと親交を深め、25歳のとき、小歌曲「樹立」などを発表し、美術学校卒業後、山田耕筰とともに渡欧しベルリン王立工芸院で構成美学を専攻。帰国後は「リズム模様」という創作デザインなど新作を次々に発表し、日本ではじめて「商業デザイン」「工業意匠」の言葉を使い、その真価を発揮し活躍しました。
矢島町では斎藤佳三を偲んで音楽顕彰会を開催しており、「ふるさとの」の歌曲碑が矢島小学校の校庭に建立されています。

ところで、この露風の詩には、山田耕筰、岡本敏明、石桁真礼生の三氏も作曲しています。今日はいずれもアルトの小川明子さんの歌唱で併せて聴いてみましょう。


三木露風
三木露風


ふるさとの
ふるさとの
小野の木立に
笛の音の
うるむ月夜や

小女子(おとめご)は
熱き心に
其(そ)をば聞き
涙流しき

十年(ととせ)経ぬ
同じ心に
君泣くや
母となりても



斎藤佳三作曲


山田耕筰作曲


岡本敏明作曲


石桁真礼生


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