*エピローグ* ウェスト・サイド・ストーリーより | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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シュランク警部補が事件のことでマリアを尋問しにやって来ます。
マリアは頭痛が酷いので今は尋問には応じられないと断りますが、シュランクも引き下がりません。
トニーと待ち合わせるはずのドックの店にすぐには行けないことを悟ったマリアはアニタに伝言を頼みます。
「今すぐには頭痛薬を取りには行けないってドックに伝えて」
事情を察したアニタは急いでドックの店に向かいます。

ドックの店ではジェッツの仲間が集まっています。
彼らはトニーがドックの店の地下室に隠れていることを知り、今度は手分けしてトニーを狙っているチノを探し出すことにします。
そのときマリアの伝言を伝えにアニタがドックの店に入って来ます。
アニタはドックかトニーに会わせてくれるように頼みますが相手にされません。伝言を伝えるため強引に地下室に入ろうとするアニタを少年たちは口汚く罵り、散々にいたぶり始めます。
ちょうどそのとき店に帰って来たドックが少年たちの暴行を止めます。
ドックはトニーのために金を工面しに銀行へ行っていたのです。が、再びジェッツへの憎しみに燃えたアニタは、
「チノがマリアとトニーの関係を知ってマリアを撃ち殺したわ! そうトニーに伝えて!」
と言って店を出て行きます。


地下室に降りて来たドックから金を受け取り、トニーは、この金はきっと返す、自分とマリアは田舎に行って暮らすつもりだ、自分たちの子供の名前はドックにすると言って喜びますが、ドックは涙ながらにチノがマリアを撃ち殺したことをトニーに告げます。
絶望したトニーは通りに飛び出し、
「チノ! おれはここにいる! おれを撃ち殺せ!」
と泣き叫びながら通りを走りぬけます。
それから広場に入り、金網のフェンスにしがみつき前を見ると、遠くに人影が現れます。

フェンスの金網の向こうに見えた人影、それは旅支度を整えたマリアの姿でした。
喜んで駆け寄る二人。二人が抱きあった瞬間、二人の横から銃声が響きます。
物陰に隠れていたチノがトニーの腹を撃ったのです。
抱きあったまま崩れ落ちるトニーとマリア。
地面に横たわるトニーにマリアが語りかけます。


Tony:
I didn't believe hard enough.
Maria:
Loving is enough.
Tony:
Not here. They won't let us be.
Maria:
Then we'll get away.
Tony:
Yeah. We can.
Maria:
Yes.
Tony:
We will.
Maria:
Yes.
(sing)
Hold my hand
And we're halfway there
Hold my hand
And I'll take you there
Somehow
Someday
Some...


トニー:
信じ方が足りなかったんだね。
マリア:
愛があれば十分だわ。
トニー:
ここではだめだ。周りが思う通りにはさせてくれない。
マリア:
それなら、ここを離れましょう。
トニー:
そうだね。できるよね。
マリア:
できるわ。
トニー:
離れよう。
マリア:
ええ。
マリア(歌)
私の手を握って
もう、すぐそこよ
私の手を掴んで
私が連れて行ってあげる
どんなことをしても
いつか
その…


そして、トニーはマリアに抱かれたまま静かに息をひきとります。

銃声を聞いて集まり、トニーが殺されたのを見て再び対立しようとするジェッツとシャークスの少年たちに、マリアは激しい口調で呼びかけチノから拳銃を受け取ります。


Maria:
You all killed him. And my brother and Riff.
Not with bullets and guns. With hate!
Well, I can kill too because now I have hate!
How many can I kill, Chino? How many?
And still have one bullet left for me?
....

No!


マリア:
あんたたちみんながトニーを殺したのよ! それに私の兄さんとリフも!
銃弾で殺したんじゃない、憎しみで殺したのよ!
ふん、私にも殺せるわ、今は私も憎んでいるから!
ねえチノ、この銃で何人殺せる? 何人?
でも最後の一発は自分用よ!
・・・
ダメだわ! 私にはできない!


マリアが拳銃を投げ捨て、その場に泣き崩れるとシュランク警部補がそれを拾い、トニーの亡骸に近付こうとします。
Don't you touch him!(彼にさわらないで!)
マリアは激しくそう叫ぶと、トニーの亡骸に覆い被り、トニーと最後の別れの口づけを交わします。


Maria
Te adoro, Anton.

マリア:
テ アドーロ、アントン(愛しているわ、アントン)

ジェッツから三人の少年がトニーに近付き、その亡骸を運ぼうとしますがうまくいきません。
そのとき、敵対していたシャークスの二人の少年が亡骸に近付き、5人は静かにトニーの亡骸を運んでいきます。
そして地面に座り込んでいるマリアに、ジェッツの少年がかたわらに落ちていた黒いスカーフを拾いそっとマリアに被せます。


(ミスター・ビーン訳)



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