グレコは歌手としての自分の立場を次のように語っています。
「私が歌う全ての歌の中に、そして私の生活の中に、私という存在がいるのです。言葉は、
私にとってとても大切です。私は、自分の気に入らない言葉を口にすることは出来ません。
私は仕えるためにいるのです。聖書に次のような美しい文章がありますね。≪私は主のしも
べ、おことばどおりになりますように≫ 私にとって、≪主≫とは作家であり音楽家です。
私の仕事は仕えることであり、演者なのです。一般に思われているのとは違って、歌は特殊
な芸術であり極めて難しい芸術です。3分間のうち2分半を使って、一つのお芝居を、あるい
は、一つの小説を書き上げなければならないのです。それは、並外れた行為です。歌はとて
も重要なものです。それは全ての人の耳に入り、街に流れ、海を渡って行きます。歌はとて
も大事なもので、人生とは切り離せぬ存在なのです。詩人や音楽家には彼らとは別に演者が
必要です。詩人や音楽家が必ずしも自分の作品の最良の演者とは言えないからです。とき
に、われわれ演者の方が詩人や音楽家が理解していなかったことを見つけることもあるので
す。」(仏語版ウィキペディアより引用)
さて、今日の曲は1960年、ギ・ベアールの作詞・作曲による
「もう後には何もない(Il N'y A Plus D'après)」
グレコが青春を過ごしたサンジェルマン・デプレに対する思いを歌った歌です。
今日は、何とアンソニー・パーキンスが1963年にフランス語で歌ったヴァージョンがyoutubeにありましたので、併せてお聴きください。
サンジェルマン・デプレ界隈
Il N'y A Plus D'après
Maintenant que tu vis
A l'autre bout d'Paris
Quand tu veux changer d'âge
Tu t'offres un long voyage
Tu viens me dire bonjour
Au coin d'la rue Dufour
Tu viens me visiter
A Saint-Germain-des-Prés
あなたは今
パリの向こうの端に住んでいるから
昔を懐かしみたいなら
長い旅を覚悟することね
あなたはフール通りの角で
私にこんにちはを言いに来る
あなたは私を訪ねてくる
サンジェルマン・デプレに
Il n'y a plus d'après
A Saint-Germain-des-Prés
Plus d'après-demain
Plus d'après-midi
Il n'y a qu'aujourd'hui
Quand je te reverrai
A Saint-Germain-des-Prés
Ce n'sera plus toi
Ce n'sera plus moi
Il n'y a plus d'autrefois
もうその後はないの
サンジェルマン・デプレには
明後日もないし
午後もないわ
あるのは今日だけ
サンジェルマン・デプレで
私があなたに再会するとき
それは昔のあなたじゃないし
昔の私でもない
もう昔のものは何もないの
Tu me dis "Comme tout change!"
Les rues te semblent étranges
Même les cafés-crème
N'ont plus le goût qu'tu aimes
C'est que tu es une autre
C'est que je suis un autre
Nous sommes étrangers
A Saint-Germain-des-Prés
あなたは言うわ、「なにもかも変わった!」と
見知らぬ通りに来たって感じ
カフェ・クレームだって
あなたが好きな味じゃない
それは、あなたが別人になったから
私が別人になったからよ
私たちはよそ者になったの
サンジェルマン・デプレでは
Il n'y a plus d'après
A Saint-Germain-des-Prés
Plus d'après-demain
Plus d'après-midi
Il n'y a qu'aujourd'hui
Quand je te reverrai
A Saint-Germain-des-Prés
Ce n'sera plus toi
Ce n'sera plus moi
Il n'y a plus d'autrefois
もうその後はないの
サンジェルマン・デプレには
明後日もないし
午後もないわ
あるのは今日だけ
サンジェルマン・デプレで
私があなたに再会するとき
それは昔のあなたじゃないし
昔の私でもない
もう昔のものは何もないの
A vivre au jour le jour
Le moindre des amours
Prenait dans ces ruelles
Des allures éternelles
Mais à la nuit la nuit
C'était bientôt fini
Voici l'éternité
De Saint-Germain-des-Prés
その日その日を生きていると
ほんの些細な恋でさえ
永遠にも思える足取りで
この小道を歩んでいたわ
でも、夜が、夜が来れば
やがてそれは終わっていた
これがここでの永遠
サンジェルマン・デプレの永遠なの
Il n'y a plus d'après
A Saint-Germain-des-Prés
Plus d'après-demain
Plus d'après-midi
Il n'y a qu'aujourd'hui
Quand je te reverrai
A Saint-Germain-des-Prés
Ce n'sera plus toi
Ce n'sera plus moi
Il n'y a plus d'autrefois
もうその後はないの
サンジェルマン・デプレには
明後日もないし
午後もないわ
あるのは今日だけ
サンジェルマン・デプレで
私があなたに再会するとき
それは昔のあなたじゃないし
昔の私でもない
もう昔のものは何もないの
(私訳)
グレコ
アンソニー・パーキンス