*ジュリエット・グレコ(8)ー詩人の魂ー* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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グレコは1969年4月、友人であり、またジャック・ブレルの伴奏者、編曲者として有名なフランソワ・ロベール(François Rauber)の依頼で、イエズス会士、ディディエ・リモー(Didier Rimaud)の作品「先まで行かねばなるまい(Faudrait aller plus loin)」を録音します。

1970年代初頭、多くの外国巡業が続き、フランス国内での成功が頭打ちになっていること、それでもカルパンティエ夫妻がグレコを当時人気のテレビ・シリーズ「Top à...」に出演させてくれたこと等がきっかけになり、グレコは20年以上も所属していたフィリップス・プロダクションを去り、バークレー・プロダクションに移籍します。

バークレーでは2枚のアルバムが編集されます。1972年の「ジュリエット・グレコ、モーリス・ファノンを歌う(Juliette Gréco chante Maurice Fanon )」と1974年の「あなたを待つわ(Je vous attends)」の2枚です。同時に、芸術面での新たな方向付けが始まります。
この2枚のアルバムに関しては、テキストは全て新しい作者の手になり、1972年のアルバムはモーリス・ファノンが、1974年のアルバムはアンリ・グゴー(Henri Gougaud)が担当しました。
それと並行して、1968年以来、グレコのピアノ伴奏を務めてきたジェラール・ジュアネスト(Gérard Jouannest)が専ら作曲を務めることになり、1988年にはグレコはジェラールと結婚します



秋も深まり、ますます物思う季節となりましたが、今日はそんな季節にピッタリの曲

「詩人の魂(L'âme des poètes)」

もちろん、1951年、シャルル・トレネ(Charles Trenet)作詞・作曲が原曲ですがグレコのカヴァー曲もトレネとはまた別の味わい深さを感じさせてくれます。

トレネのヴァージョンもアップしておきますので、聴き比べてみましょう♪



L'âme des poètes
Longtemps, longtemps, longtemps
Après que les poètes ont disparu
Leurs chansons courent encore dans les rues
La foule les chante un peu distraite
En ignorant le nom de l'auteur
Sans savoir pour qui battait leur coeur
Parfois on change un mot, une phrase
Et quand on est à court d'idées
On fait la la la la la la
La la la la la la


ずっと ずっと ずっと昔
詩人たちがこの世を去ったその後も
彼らの歌はまだ街に流れている
街のみんなは何気なく口ずさんでいるが
作者の名前も知らないし
誰のおかげで胸がときめくのかも知りはしない
ときには 勝手に歌詞を変え
考えに詰まると
ただ ララララ ララララ
と流して歌う


Longtemps, longtemps, longtemps
Après que les poètes ont disparu
Leurs chansons courent encore dans les rues
Un jour, peut-être, bien après moi
Un jour on chantera
Cet air pour bercer un chagrin
Ou quelque heureux destin
Fera-t-il vivre un vieux mendiant
Ou dormir un enfant
Ou, quelque part au bord de l'eau
Au printemps tournera-t-il sur un phono


ずっと ずっと ずっと昔
詩人たちがこの世を去ったその後も
彼らの歌はまだ街に流れている
多分 これからもずっと
この歌は歌い継がれて
人の心の悲しみを癒し
運が良ければ
年老いた物乞いの命の糧にもなる
子守唄にもなるかもしれない
あるいは どこかの浜辺で
春になると レコードから聞こえてくるかも


Longtemps, longtemps, longtemps
Après que les poètes ont disparu
Leurs chansons courent encore dans les rues


ずっと ずっと ずっと昔
詩人たちがこの世を去ったその後も
かれらの歌は まだ街に流れている


Leur âme légère, c'est leurs chansons
Qui rendent gais, qui rendent tristes
Filles et garçons
Bourgeois, artistes
Ou vagabonds.


軽やかな詩人の魂 それは歌になり
時には人を陽気にし 時には人を悲しませる
男も 女も
市民も 芸術家も
あるいは 浮浪者も


(私訳)

グレコ


トレネ


モンタン