*フランク・シナトラ (2)* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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【1935年~1940年①】
1935年、シナトラは母親の後押しで、地元(ホーボーケン)のイタリア人ボーカルトリオ
「ザ・スリー・フラッシズ(The Three Flashes)」に加わります。シナトラの参加によりグループは「ホーボーケン・フォア(The Hoboken Four)」と名前を変えてラジオ出演・全米巡業などをおこないます。しかし、シナトラは1935年後半にはグループを脱退し故郷のホーボーケンに帰りナイト・クラブなどで歌手活動を続けます。

1939年6月、当時人気のトランぺッター、ハリー・ジェイムス(Harry James)がバーのラウンジで歌っているシナトラに注目し自分の楽団「ミュージック・メイカーズ」の専属歌手として契約を結びます。これが、シナトラのプロ歌手としてのデビューです。当時のシナトラの歌い方はビング・クロスビーの影響を受けたクルーナー・スタイルでした。
ジェイムスのバンドと共に最初にリリースしたレコードは1939年6月の「From the Bottom of My Heart」で、売れた枚数が8000枚にも満たなかったため今ではこのレコードはコレクターの垂涎の的となっています。
シナトラは1939年の1年間でジェイムス楽団と10曲をリリースしましたが、その中には前回ご紹介した「All or Nothing At All」も含まれます。この曲は最初は売れ行きが悪かったのですが、数年後シナトラの人気が高まり再リリースされると数百万枚の大ヒットになりました。

1939年11月、シカゴのパーマー・ハウスでシナトラはトミー・ドーシー(トロンボーン奏者)からドーシーのバンドにヴォーカルとして契約しないかと誘われます。
この出会いはシナトラにとっては大きなターニング・ポイントになりました。ドーシーのバンドで歌うことでシナトラの知名度は飛躍的にアップしたのです。
ハリー・ジェイムスとの契約はまだ切れていなかったのですが、ジェイムスはドーシーとの契約を快く認め、シナトラを解放しました。
シナトラはジェイムスに対して生涯変わらぬ恩義を感じ、1983年、ジェイムスの訃報を聞くと「彼のおかげで全てが可能になった」と述べています。

1940年1月26日、イリノイ州ロックフォードのコロナド劇場でシナトラはドーシーのバンドの専属歌手としてデビューします。そして、1940年には40曲以上の歌をリリースし、その中には1月中旬から12週連続チャートのトップを占めた「I'll Never Smile Again」があります。
この曲は1939年、カナダのソングライター、24歳になるRuth Loweが結婚1年で自分の夫を失い、絶望のあまり妹に"I'll never smile again"と語りました。そして、その夜、一夜でこの曲を書きあげたという話です。





では、今日はその

「I'll Never Smile Again」

を、先ず1940年当時のシナトラトミー・ドーシー・オーケストラの演奏で聴いてみましょう。このときのシナトラの歌い方は典型的なクルーナー・スタイルですね。当時の女学生(ボビー・ソクサー)のハートを鷲掴みにした甘い歌声です(笑)。


I'll Never Smile Again
I'll never smile again
Until I smile at you
I'll never laugh again
What good would it do


もう二度と再び微笑まないわ
あなたに向けて微笑むまでは
もう二度と再び笑わないわ
それが一体何になるの


For tears would fill my eyes
My heart would realize
That our romance is through


何故って、私の目は涙であふれ
私の心は、はっきりわかるからよ
私たちのロマンスは終わったって


I'll never love again
I'm so in love with you
I'll never thrill again
To somebody new


もう二度と再び愛さないわ
それほど私はあなたに夢中だから
もう二度と心ときめくことはないわ
他の誰かに


Within my heart
I know I will never start
To smile again
Until I smile at you


心の奥で
私にはわかるの
二度と再び微笑みが浮かぶことはないって
あなたに向けて微笑むまでは


(私訳)





次に同じ歌を、美貌の女優かつジャズ・シンガー、ジュリー・ロンドンの歌唱で聴いてみます。