*シューマンの歌曲 (29)- 詩人の恋 あれはフルートとヴァイオリンー* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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≪デュッセルドルフ時代③≫
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シューマンは1852年の1月から8月にかけて、つまり第二シーズン後半は
5回の演奏会をこなし、ライプツィッヒでも3回の演奏会を指揮するなど
演奏活動も活発、かつ創作力も高まります。
しかし、それと反比例するように合唱団との関係は悪化の一途をたどり
ますます険悪になっていきます。

そんな中、シューマンの関心は教会音楽に向けられ、「教会音楽を書く
ことは作曲家の最高の仕事」と考えるようになり、2月から3月末には「
ミサ・サクラOp.147」を作曲します。

ただし、体調は思わしくなく、4月からリューマチの発作、不眠、それに
鬱症状に悩まされるようになりました。
そして7月2日には神経症の「ひきつけ発作」をおこします。

1852年秋から12月にかけては第三シーズン前半が始まりますが、「音楽
協会」理事会から指揮活動を控えるようにという指示が出され、10月半ば
には激しい目まい、11月21日には聴覚異常にみまわれます。
12月3日の第3回定期演奏会で、合唱団は終にシューマンを拒否。また、
12月11日から市の「音楽協会」との間のトラブルは激しさを増していき
ます。
そして終にヴォルトマン理事たちはシューマンに対し、指揮者の地位を
退くように勧告してきます。
年末には再び幻聴や目まい、リューマチの発作がおき、シューマン自身
日記に「今年のほぼ半分は、重い神経失調に倒れ病気のうちに過ぎた」
と記しています。

それでもまだ創作意欲は衰えず、12月中旬には最後の歌曲群となる「メ
アリ・スチュアート女王の詩Op.135」を書き上げます。
これは、ウォルター・スコットの詩の独訳に基づく5つの歌曲からなる
連作歌曲集です。

今日は

「ミサ・サクラ ハ短調 Op.147」

から、「グローリア」埼玉第九合唱団の演奏で聴いてみます。






≪今日の1曲≫

今日の歌曲は歌曲集「詩人の恋」の第9曲

「 Das ist ein Flöten und Geigen あれはフルートとヴァイオリン」

伴奏に婚礼の音楽が響き、歌唱はそれを耳にする詩人の心の軋みを
表現します。

歌唱は、DFDとテノールのヴンダーリヒです


9. Das ist ein Flöten und Geigen あれはフルートとヴァイオリン
Das ist ein Flöten und Geigen,
あれはフルートとヴァイオリン、
Trompeten schmettern darein;
それにトランペットも響いてくる。
Da tanzt wohl den Hochzeitreigen
きっと結婚の踊りを踊っているんだ
Die Herzallerliebste mein.
僕の最愛の人が。

Das ist ein Klingen und Dröhnen,
響き渡り、轟き渡る、
Ein Pauken und ein Schalmei’n;
太鼓と笛の音が。
Dazwischen schluchzen und stöhnen
その合間でむせび泣き、うめいている
Die lieblichen Engelein.
かわいらしい小さな天使たちが。


フィッシャー=ディースカウ 3分10秒から


フリッツ・ヴンダーリヒ