*シューマンの歌曲 (28)- 詩人の恋「花がわかってくれたら」ー* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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≪デュッセルドルフ時代②≫
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年が明け、1851年になるとシューマンは第一シーズンの残り7回の
演奏会をこなします。
それと同時に創作活動も活発で、「メッシーナの花嫁序曲」、「六つ
の歌」、「ジュリアス・シーザー序曲」、メーリケの詩による歌曲等
を次々の作曲していきます。

しかし、その一方で早くも合唱団やオーケストラとの意見の対立が見
られ、合唱協会に「永遠の怒り」を感じた結果、デュッセルドルフを
去ることを考え始めます。
これはシューマンの指導の仕方にも原因があったようで、彼は団員の
演奏を効果的に導くよりも彼自身が音楽の内面に深く没入する傾向が
強かったためでした。

秋から第二シーズンが始まるのですが、合唱団との対立が表面化して
きます。
そして、9月6日に新シーズンの曲目と独唱者について、「音楽協会」の
秘書官ヴォルトマンと衝突し、音楽監督としてのシューマンに批判的
な声が上がるようになりました。

そんな中、シューマンは11月には室内楽グループを結成し、成熟した
室内楽作品を作曲していきます。
ヴァイオリン・ソナタ第一番Op.105、≪三つの詩≫Op.119、ピアノ三
重奏曲第三番ト短調Op.110、ヴァイオリン・ソナタ第二番Op.121がこ
の時期に書かれました。

今日は

「ヴァイオリン・ソナタ第1番Op.105 第1楽章」

グレゴリー・カリノフスキーのヴァイオリン、タチアーナ・ゴンチャ
ロフ
のピアノで聴いてみます。




≪今日の1曲≫

今日は歌曲集「詩人の恋」の第8曲

「 Und wüßten’s die Blumen, die kleinen 
  花が、小さな花たちがわかってくれたら」


を聴いてみます。周りの何者にも理解されぬ詩人の心の痛みを哀切
な調子で歌った歌です。


8. Und wüßten’s die Blumen, die kleinen 
花が、小さな花たちがわかってくれたら

Und wüßten’s die Blumen, die kleinen,
花が、小さな花たちがわかってくれるなら、
Wie tief verwundet mein Herz,
どれほど深く僕の心が傷ついているか。
Sie würden mit mir weinen,
花たちは僕と一緒に泣いてくれるだろう、
Zu heilen meinen Schmerz.
僕の傷を癒そうと。

Und wüßten’s die Nachtigallen,
ナイチンゲールたちがわかってくれたら、
Wie ich so traurig und krank,
どれほど僕が悲しみ心を病んでいるか。
Sie ließen fröhlich erschallen
ナイチンゲールたちは楽しげに響かせてくれるだろう
Erquickenden Gesang.
僕の心を励ます歌を。

Und wüßten sie mein Wehe,
僕の悲しみをわかってくれたら
Die goldenen Sternelein,
金色の小さな星たちが、
Sie kämen aus ihrer Höhe,
星たちはその高みから降りてきて、
Und sprächen Trost mir ein.
僕に慰めの言葉を語ってくれるだろう。

Sie alle können’s nicht wissen,
でも皆わかりはしない、
Nur eine kennt meinen Schmerz;
ただ一人だけが 僕の痛みを知っている-
Sie hat ja selbst zerrissen,
その彼女自身が切り裂いたんだから、
Zerrissen mir das Herz.
ズタズタに僕の心を。


フィッシャー=ディースカウ 1分57秒から


ボストリッジ 4分50秒から