*シューマンの歌曲 (17) - リーダークライスOp.39-7 古城にて ー* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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≪ライプツィッヒ時代②≫

1841年は「交響曲の年」ということで、シューマンは「交響曲第1番
変ロ長調Op.38 春」、さらに「交響曲第4番ニ短調」の第1楽章(完
成は1851年)、「ピアノと管弦楽のための≪幻想曲≫イ短調(後のピ
アノ協奏曲Op.54)」など管弦楽曲を意欲的に作曲しています。

翌1842年2月、シューマン夫妻はクララの演奏旅行に出発し、ブレー
メン、オルデンブルクを訪れますが、オルデンブルクの宮廷晩餐会に
はクララしか招待されなかったので気落ちしたシューマンは3月12日
に一人帰宅しクララだけが4月26日まで演奏会を続ける事態になりまし
た。

帰宅後、シューマンはフーガと対位法の研究に取り組み「室内楽」の
作曲に意欲を見せます。
「弦楽四重奏Op.41」、「ピアノ五重奏曲Op.44」、「ピアノ四重奏曲
Op.47」などを次々と作曲し、この年は「室内楽の年」と呼ばれました。

今日は、辻井伸行氏の演奏で「ピアノ五重奏曲変ホ長調Op.44の第1楽
章」
を聴いてみましょう。




≪今日の1曲≫

さて、リーダークライスOp.39もいよいよ後半6曲に入ります。
今日は、第7曲の


「Auf einer Burg 古城にて」

歌唱は、先日お亡くなりになった20世紀最高のリート歌手、ディートリッヒ・
フィッシャー=ディースカウ
、21世紀を担うバリトン歌手、マチアス・ゲルネ
フランスのソプラノ、レジーヌ・クレパンです。


7. Auf einer Burg 古城にて
Eingeschlafen auf der Lauer
上では年老いた兵士が
Oben ist der alte Ritter;
見張り中に眠りについている。
Drüber gehen Regenschauer,
その上ににわか雨が降っていき、
Und der Wald rauscht durch das Gitter,
格子越しには森がざわめいている。

Eingewachsen Bart und Haare
髭も髪も伸び、
Und versteinert Brust und Krause,
胸もひだ飾りも石と化し、
Sitzt er viele hundert Jahre
彼は何百年も座っている、
Oben in der stillen Klause.
高い静かな庵の中に。

Draußen ist es still und friedlich,
外は静かで穏やか、
Alles sind ins Tal gezogen,
みんな谷へと下りていった。
Waldesvögel einsam singen
むなしい窓のアーチでは
In den leeren Fensterbogen.
森の小鳥たちが寂しく歌っている

Eine Hochzeit fährt da unten
婚礼の一行がその下を
Auf dem Rhein im Sonnenscheine,
陽の光の中、ラインを行く。
Musikanten spielen munter,
楽隊は陽気に音楽を奏で、
Und die schöne Braut, die weinet.
そして美しい花嫁は涙を流す。


フィッシャー=ディースカウ(Bar.)(ピアノ:ジェラルド・ムーア)


マティアス・ゲルネ(Bar.)(ピアノ:エリック・シュナイダー)


レジーヌ・クレスパン(Sop.)