*シューマンの歌曲 (15) - リーダークライスOp.39-5 月夜 ー* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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≪クララ・ヴィーク⑥≫

1840年1月4日、ヴィークの申し立てに対する判決が出ます。
シューマンの「飲酒癖」を除きヴィークの申し立ては全て却下され
ました。
ところがヴィークは1月13日に控訴し、巧みな法廷戦術で6週間の審議
を6か月に引き延ばしシューマンの飲酒癖を認めさせようとします。

シューマンの方も自身の立場を強固にするため、イェナ大学に博士号
取得の申請を出します。
これを受けてイェナ大学は、2月24日に作曲家および著述家としての
シューマンの業績に基づいて名誉博士号を授けます。
さらに、3月28日には上級審から1月4日の判決を支持するとの判決が
下されます。

そして7月7日の法廷で、ヴィークはシューマンの飲酒癖を証拠立てる
ことができず、8月1日、ついにシューマンとクララの結婚に対する法
的許可が下りることになります。

二人はこのような紆余曲折を経て、クララの誕生日の前日である9月
12日にライプツィッヒ郊外のシェーネフェルト教会で結婚式を挙げ
たのでした。


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この公私ともに困難であった時期に作曲されたピアノ小品の傑作、
クライスレリアーナの第1曲を、内田光子さんの演奏でお聴きくだ
さい。






≪今日の1曲≫

今日はリーダークライスOp.39の第5曲

「Mondnacht 月夜」

ピアノ伴奏が天と地の口づけを暗示し、その伴奏に乗って心が自然と
一体となり、魂の故郷を目指して羽ばたいていきます。
そして曲は、魂の故郷である「美しい異郷(第6曲)」へと続いて行き
ます。

歌唱は、バリトンのフィッシャー=ディスカウ、ソプラノのエリー・
アメリンク
、同じくソプラノのバーバラ・ボニーです。
特にバーバラ・ボニーの歌唱が素晴らしい!



5. Mondnacht 月夜
Es war, als hätt' der Himmel
それは、まるで大空がそっと、
Die Erde still geküßt,
大地に口づけでもしているかのようだった。
Daß sie im Blütenschimmer
まるで大地が花たちのほのかな光の中で
Von ihm nur träumen müßt.
大空のことだけを夢見ずにはいられないほどに。


Die Lufte ging durch die Felder,
そよ風が野に吹き渡り、
Die Ähren wogten sacht,
やわらかに穂が揺れ、
Es rauschten leis die Wälder,
森はかすかなざわめきの音を立てていた、
So sternklar war die Nacht.
たいへん星の明るい夜だった。


Und meine Seele spannte
そして僕の心は
Weit ihre Flügel aus,
その翼を広げ、
Flog durch die stillen Lande,
静かな大地へと飛び立っていった、
Als flöge sie nach Haus.
まるで我が家に帰ってでも行くかのように。


フィシャー=ディスカウ(Bar.)(ピアノ:ヴォルフガング・ザヴァリッシュ)


エリー・アメリンク(Sop.)(ピアノ:イェルク・デムス)


バーバラ・ボニー(Sop.)(ピアノ:ウラジミール・アシュケナージ)