*故郷の廃家* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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好きな音楽の話題を中心に、気の向くままに書いていきます。

現在は殆ど歌われなくなった文部省唱歌の中には美しい曲がいくつも
あります。
今日ご紹介するのもそのうちの一曲で


「故郷の廃家」

作詞・作曲はアメリカの音楽家William Shakespeare Hays(1837~1907年)で、
この曲は1871年に作られました。
日本で知られている曲としては他に「冬の星座」があります。

日本語詞は犬童球溪が、明治40年に発表したものです。当時新潟高等女学校
の教師であった犬童は、遠い故郷の熊本県人吉を思い訳詞を書きました。
犬童の訳詞は他に「旅愁」があります。いずれも遠い故郷を偲ぶ内容ですね。

また、この曲には戦時中の悲しいエピソードがあります。
戦争末期の1945年2月に、米軍は硫黄島に上陸し日本軍守備隊と激しい戦闘を
繰り広げました。
そのとき塹壕に避難していた日本軍の少年兵の一人が、赤い夕日を眺めなが
ら遠い故郷を偲んでこの曲を歌い始め、それが最後には大合唱になっていっ
たそうです。
それを聞いた市丸少将はまだ十五、六の年端も行かぬ少年たちを道連れにす
るのは忍びないという気持ちで思わず涙をながしたそうです。
そして、この少年兵たちは、殆どが戦死し帰らぬ人となりました。



故郷の廃家

作詞・作曲:William Shakespeare Hays、
日本語詞:犬童球溪


1 幾年(いくとせ)ふるさと 来てみれば
  咲く花 鳴く鳥 そよぐ風
  門辺(かどべ)の小川の ささやきも
  なれにし昔に 変わらねど
  あれたる 我家(わがいえ)に
  住む人 絶えてなく


2 昔を語るか そよぐ風
  昔をうつすか 澄める水
  朝夕かたみに 手をとりて
  遊びし友人(ともびと) いまいずこ
  さびしき 故郷(ふるさと)や
  さびしき 我家(わがいえ)や


My Dear Old Sunny Home

1. Where the mocking bird sang sweetly
Many years ago,
Where the sweet magnolia blossoms
Grew as white as snow,
There I never thought that sorrow,
Grief nor pain could come,
E'er to crush the joys and pleasures
Of my sunny home.
(Chorus:)
Oh! I'm weeping,
Lonely I must roam.
Must I leave thee,
Dear old sunny home?


2. Flowers withered, roses drooping,
'Round the cottage door,
And the birds that sang so sweetly,
Sing, alas, no more.
Ev'ry thing seems chang'd in Nature,
Since I cross'd the foam,
To return, my poor heart breaking,
To my sunny home.
(Chorus:)


3. Other forms and stranger faces,
All that I can see,
Brings to mem'ry thoughts of loved ones
Who were dear to me.
But my poor heart sinks within me
When I turn to roam,
Far from all I lov'd and cherish'd,
Good bye, sunny home.
(Chorus:)