*愛の讃歌(Hymne à l'amour)* | ミスター・ビーンのお気楽ブログ

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好きな音楽の話題を中心に、気の向くままに書いていきます。

昨日のブログで、「愛の賛歌」が結婚式で歌うにはふさわしくないと
書きましたが、その理由も含めてこの曲について書いてみます。

作曲はマルグリット・モノー、作詞はエディット・ピアフ、レコーディ
ングは1950年5月2日、勿論ピアフ自身が歌っています。

ピアフという人は、幼少時まさに赤貧洗うが如しという環境で育ち、
小さい頃から今で言う路上ライブで一家を支えてきた人でした。
そして、自分の才能一本で大歌手へとのし上がってきた人です。

また、愛に飢えているというか男性遍歴が絶えず、しかも常に身を
削るような真剣勝負の恋愛を続けてきた女性です。この歌が書かれ
たときもピアフはプロボクサーのマルセル・セルダンと相思相愛の
仲でした。

しかし、セルダンには妻がありいわゆる不倫関係だったわけです。
その恋愛関係に終止符を打つために身を切る思いで書いたのがこ
の曲だったのですね。

ピアフの初期の録音を聴くと、まさにたたきつけるような激しさで
この曲を歌っていますが、恋人のために自分の思いを無理やり断ち
切らねばならぬ彼女の気持ちがこの歌詞と歌唱にストレートに出て
いると思います。

嫌いになって別れるのではなく、セルダンの立場を思ってこの関係
に終止符を打つ。しかし、セルダンへの燃えるような思いは消える
ことはない。そんな気持ちを込めて作ったのがこの歌なんですね。

そして、この歌が作詞された直後にセルダンは飛行機事故により
帰らぬ人となってしまいます。


Hymne à L'amour
Le ciel bleu sur nous peut s'effondrer
Et la terre peut bien s'écrouler
Peu m'importe si tu m'aimes
Je me fous du monde entier
Tant qu'l'amour inond'ra mes matins
Tant que mon corps frémira sous tes mains
Peu m'importe les problèmes
Mon amour puisque tu m'aimes


青空が頭上に落ちてきたっていい
大地は崩れるなら崩れるがいい
構うもんですか あなたが愛してくれるなら
世間なんてどうでもいいの
溢れる愛が 私の朝を浸して
あなたに抱かれ 身を震わせることができるなら
苦労なんか厭いはしない
あなたが愛してくれるのだもの


J'irais jusqu'au bout du monde
Je me ferais teindre en blonde
Si tu me le demandais
J'irais décrocher la lune
J'irais voler la fortune
Si tu me le demandais
Je renierais ma patrie
Je renierais mes amis
Si tu me le demandais
On peut bien rire de moi
Je ferais n'importe quoi
Si tu me le demandais


世界の果まで行ってやるわ
髪をブロンドに染めてもあげる
あなたが そうしろって言うのなら
お月様を取りにも行くわ
泥棒だってしてみせる
あなたが そうしろって言うのなら
祖国だって裏切ってやる
友達だって裏切ってやる
あなたが そうしろって言うのなら
世間は私を笑うがいいわ
何だってやってのけるから
あなたが そうしろって言うのなら



Si un jour la vie t'arrache à moi
Si tu meurs que tu sois loin de moi
Peu m'importe si tu m'aimes
Car moi je mourrais aussi
Nous aurons pour nous l'éternité
Dans le bleu de toute l'immensité
Dans le ciel plus de problèmes
Mon amour crois-tu qu'on s'aime

Dieu réunit ceux qui s'aiment


いつか 人生が私からあなたを奪っても
離れ離れのまま もしあなたが死んでも
構うもんですか あなたが愛してくれるなら
何故って そのとき私も死んでしまうから
あの果てしない青空で
私たちは 永遠の時を手に入れる
あの大空で のびのびと
ねえ、あなた 愛し合うことが出来るのよ

神様が 愛する者たちを結びつけてくれるのだから


(私訳)

エディット・ピアフ(Édith Piaf)