昨夜のことでした。
実家の父から突然の電話。「おい、○○の爺さんが亡くなったぞ。葬儀は日曜だ」
ウチの本家筋の爺さんが亡くなったとのこと。夏頃から体調を崩して危なかったんですよ。まあ今までよく保ったなという状態でした。
今年96だか97だかの高齢でしたから、まあ大往生ですよ。
この爺さんの思いでやらエピソードやらの思い出を紹介して、はなむけとしましょうか。面白い爺サマだったんですよ。
さて明治の生まれですから、戦前にはすっかり大人。なんだかんだで満州に渡ったんだそうですよ。
敗戦を満州で迎えたまでは良かったけれど、うっかりソ連軍に捕まってしまい、シベリア送りに。
一度、この頃の話を聞いたことがあるますが、シベリアでは周りの日本人があまりの寒さでバタバタと死んでいくんだそうです。本当にバタバタと。
そんな過酷な条件下でこの爺サマ(と言っても当時は壮年)は生き抜き、終戦2年で帰国。農業に従事します。
ちょっと遅かったですけど娘も生まれ、まあ普通の人生ですよ。
ところが、この爺さまの凄いのはここから。
奥さんから聞いたんですが、70歳過ぎてから浮気しちゃって、20歳も年下(と言っても50歳台…)の恋人を作ってしまうのですよ。もともと女グセは悪かったらしいですが、いったいどうやったら70でこんなことができるのか?
女の方の亭主がねじ込んできたことも一度や二度ではないそうで…。
奥さん曰く「70の爺さんについていく女の方もどうかしとるよねぇ」
確かにそうですな。
80にもなると女遊びはやめたみたいで良かったのですが、突如釣りを始めたんですよ。ヒマさえあれば自転車で10キロもはなれた港に釣りに出かける日々。
これが実は老人の徘徊寸前。だって黙って釣りに行くんですもん。
そしてある日、爺さんフグを釣り上げました。
やめときゃいいのに、自分で捌いて食べちゃいました。
救急車で運ばれました。当然ですね。
2日後、医者と喧嘩して退院しました。「ワシはもう治った。戦争中はいつもフグ喰っていた」の一点張りだったそうです。
こんなフグの毒にも、シベリアにも負けない爺さまも歳には勝てませんでした。
爺サマよ、安らかに眠ってくれよ。