先日、東京駅に降り立った。 外は熱波。ギラギラ太陽がまぶしいどころではない。コンクリートの輻射熱か、息苦しいほど。駅の外に出るのはあきらめ、さあどうしようと考えながら、ぐるりと東京駅北口の天井を一巡り。すると「イザベラ・バード展」のポスターが目に入る。

明治に入ってすぐ、イギリスから一人の女性が単身来日。日本人通訳を伴って、東北から北海道まで旅行し、紀行文を残したタフな女性だ。まだ西洋文化に全く影響を受けていない日本。見るもの何でも珍しく、野蛮な東洋の一国という視点はなく、直に日本の風景、人間,文化に接し、冷静に当時の日本情勢を記録している。でもノミには苦労したらしい。くらいが私の彼女について知っていること。展覧会なら、原書でも展示されているかなと、すぐに入館することにする。

ここにも中高年の女性がいっぱい。イザベラ・バードってそんなに有名?と思ったら、この展覧会はメインが竹久夢二展で、バードは最後の最後のホンの少し。全展示の10分の一以下。JRの東北の旅へのいざないが目的らしく、真新しい情報はなかった。

彼女の紀行文の中に描かれていた当時の日本人の風俗画の写真コピーが興味深かった。百数十年前の日本人。風俗だけでなく、日本人の顔つきも随分と変わったものである。

世界中を旅した彼女が出会った先住民の中で、アイヌが一番美しいと述べている。バードの見慣れている西洋人と共通点を見出したのかもしれない。のっぺりした我々アジア人と異なり、目鼻の堀の深いアイヌに親近感を抱いたのか。実際最近のDNA分析によると、アイヌは白人種と全く関係がなく、縄文人に近いらしいが。

それにしても100年以上も前、女性ひとりで世界旅行とは、金銭的に裕福だったであろう、大英帝国のネットワークを利用したとはいえ、それ以上にその勇敢さ、好奇心、それに健康への自信には脱帽だ。