オリンピックやパラリンピックの開催と被ってしまって『青天を衝け」はしばらくお休みしたが、二つの世界大会のの間に一度だけ壮絶な渋沢平九郎のストーリーが放映された。長身でイケメンの彼の血だらけの姿は、映像として強烈。実際彼は渋沢、尾高一族の中で、剣術も学問も指導力も、際立った人物ではなかったらしい。私が血洗島で育ったころ、両家の人物の話はよく聞いたが、平九郎の話題はなかったと思う。最もこの一族はあまりにもとびぬけた才能の持ち主の一族で、行動力も並みではなかったが。

 

平九郎がなくなってしばらくして栄一がフランスから帰国した。欧米の文化、知識を体中に吸い込んで凱旋と思いきや、日本は.すっかり変わっていた。300年続いた徳川幕府はなくなり、明治政府が一応政権を握っていたが、まだ国内は分裂状態。

栄一の留守中、万一のことが起きた時、渋沢家を継いでくれるように嫡男として入籍した平九郎の死が、一番栄一の心にグサッとささったという。

しばらく残務整理をしながら、自分に何ができるか、ヨーロッパで仕入れた知識を、どうやって日本流に日本人に抵抗なく導入できるか、栄一は塾考していたに違いない。

 

これから怒涛の彼の人生が展開する。日本を大変革して、後に世界の中で経済力がナンバーワンと言われるほどの国にした基礎を築き上げる。活躍の場は大都会であり、生まれ育った血洗島は昔のまま。のどかで緑豊かで、変わらぬ人情、方言。時の流れを超越した農村の登場が、私の楽しみである。栄一は超多忙な経済人だったが、時々田舎に帰ってきたという。血洗島に心の洗濯をしに帰ってきたのだろう。

 

最近、東京証券取引所が新しくなって再登場した。そこに栄一の家にあった赤い大きな石が置かれているという。其の石を撫でると、株が上昇するんだとか。古い取引所に置かれていた石をそのまま持ってきたという。以前2度ほど私は古い取引所へ行ったことがあるが、そんな石があるなんて知らなかったので、触ったことがない。知っていたなら、私は今頃億り人?