覚えているのは内容じゃねえ | 茶腹も一時

茶腹も一時

原作不足の飢えを蛸の身喰いでしのぐ二次小説群。
ジャンルは主に特撮、たまにそれ以外。まれに俳優・松山英太郎さんの備忘録。

台風21号の甚大な被害があったばかりだというのに、北海道で大変な地震が……

もう口から「うわー……」しか出ません。

一刻も早く皆様に安寧の日々が戻りますよう、切にお祈りしております。

 

問い:こんなときに「物語」は

 a・無力である

 b・心の支えになる

 

aなのかな、と思ったときもありました。

しかし、最近、ふっと思い出しました。

 

私の住んでいる地域でもかつて、台風で結構な被害が出たことがありました。

そう深刻なものではなかったのですが、電気が数日ストップしました。

 

でもそのとき、図書館から借りた

『童話物語』(向山貴彦・著、宮山香里・絵/幻冬舎)

を読んでました。

 

これがもうめちゃくちゃ面白くて!

もちろん台風の後始末や、電気が使えないために手間の増えた家事などに追われてとても忙しかったですし、夜は夜で暗くて読めないのですが、日中に隙あらば続きを読むことを楽しみにし、また脳内では物語の内容を考えることで、深刻な不安に囚われてばかりでいずに済み、明るい気持ちで電気復旧までの日々を乗りきれました。

 

というわけで。

個人差はありましょうが、少なくとも自分にとっては、物語はとっても有益な心の支えとなりました。

 

私は読了した瞬間から本の内容をおっそろしいスピードで忘れて行く残念な頭の持ち主でして

(だからこそこのブログで感想文を書き始めたのです)

『童話物語』に関しても例外ではなく、覚えているのは

 

・唯一の身寄りである母親を亡くして荒んだ主人公の女の子・ペチカが妖精の少年とともに世界を救うための旅をする話

・途中にペチカをいじめていた少年が絡んでくるが、いじめの原因は彼もまた幸せな境遇にないことであり、ペチカの味方になる

・ペチカの好物はオムレツ

 

くらいでして(最後の情報、私の食い意地が露呈してるwww)

あとはどのキャラも正義のいい子ちゃんではなくそれぞれの鬱屈があり、ときには打算やネガティブな感情で誤った言辞行動を選んでしまうこともあるのがとても人間的で魅力的なこと、その鬱屈に至るまでの描写が重たいまでに描かれていること、世界観がとてもよくできた本格ファンタジーであることが印象に残っています。

……あくまで印象であって具体的に思い出せないんだけど!

あったのは確かなんです本当だってば。

 

そんなわけで。

 

読む時間も限られますし、本や媒体自体が震災の被害に遭われたかたも多くいらっしゃるかと存じますが……

二次ながら創作する者として、物語とは、生まれた瞬間から作者の意図を超え、読者の方を思い、読まれるのを待っているものだと思います。

心を支えうる物語に必ず出会えます。

だからどうか皆様が、この日々を乗り越えていってくださいますように。

 

しっかし『童話物語』、ここから続編がばんばん出るものだと思ったのに……巻末の年表みたいなの(うろ覚え)がよもや全然書かれないとは思わなかったです。ちぇー。

と思って検索したら、今年に作者の向山貴彦さん亡くなられてたのですね! うわっこの状況で知るの更に凹む!

(ご冥福をお祈りいたします)

図らずも物語は生き続けて読者の心を救い続けることもわかってしまった……くそー、世の中厳しすぎるな……

私も頑張って、とりあえず生きます……!