脚本家によろしく。 -3ページ目

脚本家によろしく。

だから、それ書いたの私ですって。


誰かがドアをノックする。彼が戻ってきたのかもしれない。それとも、風のいたずらか。彼女はまどろみから現実へと戻ろうとする。誰かがドアをノックする。待って、今開けるから。彼女はまどろんだまま、そう呟く。春の陽射しがやわらかい。


あたたかい部屋の中で春を待っている。雪溶けの湿った土を踏みしめながら歩いてくる彼を想像する。戸口でわずかな会話を交わし、私たちは笑い合う。もしくは、抱き合って泣くかもしれない。彼が来ないとわかっていても、私は彼が来ることを夢見る。まるで、春を待つように。


冬はゆっくり近づいて、今週がまた始まる。あまりの寒さに音まで凍ってしまったらしい。家の中は静かだ。まきストーブをつけ、湯を沸かす。やかんがしゅんしゅんと音を立て始め、部屋がゆるりとあたたまる。私の中でも何かがようやく溶けた。喉の奥を苦いものが流れていく。