京都市美術館で10月12日まで開催されている「マグリット展」は、マグリット好きにとっては、これ以上望めない様な質と量の展覧会である。
「シュールレアリズム」とは、1924年に詩人のアンドレ=ブルトンにより、フロイトの精神分析の影響を受けつつ宣言された芸術運動である。
シュールとは常にリアルに寄り添い、その上に、あるいはその隙間に存在するもので、リアルの対義語のヴァーチャルとは全く異質のものである。
そういう意味においては、ヴァーチャル的な要素が強い、ダリやキリコに比べ、マグリットはよりシュールなシュールレアリストと呼べるのではないだろうか。
「白紙委任状」や「大家族」などは何度見ても心を動かされるが、最も気になった作品は「ゴルコンダ」である。
山高帽の黒ずくめの無数の紳士達は何を意味しているのだろうか。
ある人は落下する雨の様に見え、ある人は上昇する蒸気のように見え、又ある人にはただの壁紙の模様にしか見えないかもしれない。
私には蒸発してゆく蒸気の様に感じたられたが、見る人の性格や、その時の精神状態によっても変わってくる。
ある意味、怖い絵である。
マグリットは鑑賞者の潜在意識に無言で入り込む事によって、逆に多くの顕在意識を視覚からとは逆方向から刺激してくるのではないだろうか、計算され尽くして。




