名探偵コナン黒鉄の魚影(©️青山剛昌)のゲストキャラクター直美・アルジェント。
灰原哀こと宮野志保の幼少期の知り合いである彼女の登場は作品全体にどの様な効果をもたらしたか?
まず,両親と姉が既に他界しており,もはや宮野志保としての彼女を必要とする人間はいないと長らく思われていたところに,そうではなかったこと,長きに渡って志保に会いたいと思っていた人間がいたということを示したのは最も分かりやすく,且つ最大の効果だと考える。
だが,それだけでなく,直美が登場したことにより宮野志保の幼児化に深みを持たせる結果になったという点も効果として挙げておきたい。
工藤新一には毛利蘭や鈴木園子といった本来同級生であるにも関わらず,遥か歳上のお姉さんとなってしまったキャラクターが存在する。
彼女達と比べることにより,小学1年生となってしまった新一の様々な変化がより際立つと言えるだろう。
メアリー世良も話し方や立ち位置に差は無いが,37歳の時に産んだ最後の実子である真純よりも遥か歳下の体となり,領域外の妹を名乗っている点がスパイスとして効いているだろう。
また,僅かながら10年前に出会った幼子の蘭から遥か歳下の少女と思われている点もその様な効能をもっと言えるかもしれない。
あるいは,同様にあの時の幼子である新一と共に幼児化し,新一は当時のままだがメアリーは当時とも比較にならない程後退化して,新一より僅かに歳上という程度に止まっているというのもポイントとして挙げるべきかもしれない。
だが,宮野志保の場合はそういう存在が今までいなかった。
蘭達との出会いも探偵団との幼児化後に灰原哀としてであり,そうしたアイロニカルな印象をもたらす様な対比にはならない組合せだった様に思う。
だが,直美は宮野志保として出会った同級生(明言はないが,その様に受け取れる描写はあった様に思う。年齢も誕生日が来ているか否かの違いと考えれば同い年となる)
本来ならお互い大人の女性として再会を果たすべき2人である。
しかし,志保はAPTX4869を自ら投与し幼児化。
結果,2人は遥かに歳の離れた「おねロリ」として再会することとなった。
これは灰原哀に足りなかった同級生だった2人のうち片方だけが幼児化したという状況に他ならないだろう。
しかも,直美は年齢的にも日本における成人に達している。ガンダムの世界でもはっきりと大人に分類される歳なのである。
しかも,直美はエンジニアとして働いている。きちんと労働し,社会貢献しているのである。
差異としては,何だかんだまだ高校2年生でしかない蘭達以上に大きなものを感じさせるだろう。
作中における直美と灰原=志保との対比は他にも存在する。
志保は幼児化してから化粧をしていない様だが,大人の直美は仕草から口紅を塗っていることが分かる。
また,直美は大人として計算の手伝いを申し出る場面もあるが,志保はこの時座ったままである。
肉体,社会的立ち位置,嗜み,仕草,あらゆる点で幼児化した志保と幼児化していない直美は対比されている。
長らく新一にはあって志保にはなかった要素が,直美の登場により上位互換で補填されたのである。
