四乃森蒼紫
るろうに剣心(©️和月伸宏 集英社)の登場人物で,齢15で御庭番衆御頭になった天才陰陽だが,剣心との初戦では終始圧倒しながらも,最終的には人斬り抜刀斎に立ち戻らない状態の剣心に敗北していることから,一般的にはるろうに状態の剣心を本気を出すこと無しに圧倒した斎藤一やその斎藤が手負とはいえ敗北を余儀なくされた志々雄真実等の幕末京都組には遠く及ばない実力しかなく,抜刀斎に立ち戻ることでようやく撃退した鵜堂刃衛よりも下の可能性も高いと言われている。
しかし,あの世界でもっとも強いものは生きようとする意思に他ならず,それを手にしたことで後の剣心は抜刀斎に立ち戻らずとも全力を出せる様になっている。
そして,剣心は蒼紫と戦った際,確かにこんなところで○ぬ訳にはいかないと発言している。
つまり,この時の剣心は一時的に生きようとする意思を持った状態だったのである。
そして,そのことが具現化されたシーンこそ,剣心が咄嗟に鞘を引き上げたあの場面だったのではなかろうか?
通常のるろうに状態の剣心であれば,あの時回天剣舞に斬られて負けていた。だが,生きようとする意思が咄嗟に鞘を引き上げさせ,回天剣舞の威力を削いだ。そして,そんな剣心を蒼紫は最強と呼ばれただけのことはあると認めたのではなかろうか?
そう考えると,通常のるろうに状態の剣心を蒼紫は終始圧倒していた。そして,その状態で本気になったところで勝ち目はないと断じた。その点において,初期の蒼紫と斎藤には差がなかった。2人の違いは,倒されたか引き分けで終わったかの差だけということになる。
思えば,仮にも幼い頃から修行し,幕末後も戦いに身を置いていた蒼紫が,たった数ヶ月の修行で爆発的に実力を伸ばせるとは考えにくい。
確かに戦闘スタイルを変更してはいるが,それでも素人ではなかったのだから,短期間での向上には限界があると考えるのが自然だろう。
二刀蒼紫の強さと一刀蒼紫の強さの差,それは正に奥義修得後の剣心と修得前の全力との差と言えるのではなかろうか?
その両者に紙一重で敗れたという点において(なお,人中編で蒼紫は更に腕を上げている)