こんなのを読んで、自分の糧になるのか――そんな疑問を抱きつつも、
あまりプレッシャーなく気楽に読めそうだと思い、手に取った本作。
かなり実態に近いノンフィクションなのだろう。それゆえに面白かった。
奥田碩氏がモデルとされる武田剛平の話など、ほとんど知らなかったので興味深かった。
フィリピンに左遷のような形で赴任していたが、豊田章一郎氏の娘婿がマニラに出向していた縁で、
孫の顔を見に来るたびに同行する機会があり、それが本社復帰のきっかけとなった。
もちろん、フィリピンでの実績が前提にあっての話ではあるが。
その後の豊田家とのやり取りや、ハイブリッド・EVへの取り組みなども、
リアリティを保ちつつストーリー仕立てで描かれており、楽しく読むことができた。
文学的な知見やセンスが養われたとは言えないが、
トヨタの知らなかった側面を知ることができたこと自体は良しとしたい。
