久しぶりに、いわゆる古典とされる小説を読んだ。
それほど難しい話ではないので、ストーリーの成り行き自体は難なくフォローすることができたが、
読んだ直後は、この作品は何が言いたいのかを言語化することができず、少し考え込んでしまった。
ただ、本作について妻と会話しているうちに、自分なりに解釈できた気がした。
自分が理解したと思ったことを言葉にしてみることや、
他者からのフィードバックを受けることの重要性を改めて実感した。
著者が第一次・第二次世界大戦をドイツで経験し、
最終的にスイスへと帰化した経緯からも想像できるように、
作中では、抑圧的な国家体制やそれに起因する封建的な社会・家父長制によって、
子供たちの自由で無垢な発想や成長が押しつぶされていく姿が描かれている。
きっと、豊かな思想と才能を持ち合わせていたヘルマン・ヘッセ自身の体験に基づいているのだろう。
大人たちの勝手な都合で言いなりにされてしまう子供たちを救いたい、という想いがにじみ出ている。
子供たちには自由に発想してもらい、好きな道に進ませてあげることで力を発揮させ、
それがやがては社会や世界をよくすることの一助になるという具合である。
だからこそ、大人は子供に余計な介入をしないでくれ、というメッセージである。
当時の社会情勢や慣習に比べれば、現在の状況はその観点において確実に改善されているだろう。
一方で、かつてのように教会へ通い、規律ある整然とした空気が保たれていた時代の人々から見れば、
現代は何かが大きく崩れていると感じられるのかもしれない。
何事にも絶対の正解はないし、万人に受け入れられる完璧な状態など存在しない。
しかし、ヘルマン・ヘッセが本書を通じて発信しているメッセージは、時代を超えた一つの真理なのだと思う。
