タイトル名が気になり、読み始めた。
読みはじめるまでわからなかったが、小説のことに関する「小説」だった。
ストーリーもわかりやすく、文章も明解で、読みやすかった。
本書における問いは、小説というのは書こうとするだけでなく、読むだけじゃダメなのか、というもの。
その問いに対して、「読むだけでも良い」との答えを導く。
この答えの根拠として、以下を挙げている:
- 宇宙・生命・人類の進化の本質:外と内を隔てる構造を持ち、外のものを内に取り込んで成長し、やがて死ぬという一貫した法則性。
- 読書の根源的意味:外から自分になかった「意味」を取り込み、内側を豊かにして成長する行為。
- 虚構(フィクション)と小説の誕生:物理的限界のある現実世界を超え、無限の豊かさを生み出すために人間が創り出した「嘘」の最高峰。
- 小説を読む行為の価値:外からものを取り込んで成長するという生物の本質に根ざした、それ自体が価値を持つ「純粋な自己贈与」。
- 実利の位置づけ:小説を読むことで創作ができるようになるといった実利は、単なる副産物であり必須ではない。
確かに、小説を読むことの効用はこのようなことなのだと思う。
現実の世界と、小説における虚構を行き来することで、
より社会と接している自分の内側にあるものを充実させられるのではないか。
自分の内側が充実し、成長できたかなんて、なかなかわからないだろうし、実感する場面も少ないだろう。
しかし、そんな実利的なことを考えるのではなく、
より自分の人生をよりよりものにしたい、楽しいものにしたいという思いで、これからも根気強く、読書を続けたい。
それを少し再確認することのできた本であった。
