なぜ本書を手に取ったのか忘れてしまった。
しかし、とても印象に残る作品だった。
髙村薫氏の本を読んだのもはじめて。上下巻で読み終えるのに時間がかかった。
そして、特に最初の方は入り込むのに時間がかかった。
ところが、警察と犯人のやり取りが深まってくる後半から、
人間の感情や行動の真実に迫っている感じがして、これが本書の魅力なのだと思った。
自分のとった咄嗟の行動に理由なんてない。
あの時、なぜそのような行動をとったのか説明を求められても、答えられない。
単に体がそのように反応したとしか言えない。
そんなこと誰にでもあるはずだ。
すべての事象に理由があるわけでもなく、説明がつくとも限らない。
まぶしかった太陽のせいにしていた「異邦人」のムルソーと同じだ。

