これまた気軽に読める本を手にとってしまった。

ただ、それなりに楽しんでしまった。

本書では、二項対立で語られがちなトピックを取り上げ、それが単純に善か悪かで片付けられないことを説いている。

世の中、そういうことばかりだ。

だからこそ、安易に善悪を判断すべきではない。ただし、そうした慎重な判断にはエネルギーが要る。

面倒な思考は不快感を伴う。一方で、素早く判断できると快感を覚える。

だから、いつもこうしたトピックに真摯に向き合えるとは限らない。

それでも、あえてその面倒に立ち向かおうとする姿勢こそが、

思考を深め、より充実した人生へとつながる確かな道なのだろう。

  • 双方が「正義」を主張する状況では、善悪の二元論が対立をさらに深刻化させる
  • DD(どっちもどっち)とは、両者の言い分や立場を理解し、単純に片方が「悪」だと決めつけない視点
  • 私たちが正義と感じるものを鵜呑みにせず、背景を探る視点の重要性
  • 現代社会の複雑さに真正面から向き合うためには、冷静さと柔軟な思考が不可欠
  • 「正義」を過信することで、逆に視野を狭めてしまう危険性
  • 「正しい情報」を消費しているつもりでも、その背景にある複雑な事情や対立を理解する努力を怠れば、対立を助長するだけで終わる可能性が高い

 

 

 

<目次から一部抜粋>
Part0 DDと善悪二元論 ウクライナ、ガザ、ヒロシマ
・国際社会の「正義」が戦争を泥沼化させる
・イスラエルvsユダヤ人
・ヒロシマからアウシュヴィッツへの行進
・憎悪の応酬を解決する方法は「忘却」

Part1 「正しさ」って何? リベラル化する社会の混乱
・「性交を金銭に換えるな」はエロス資本の搾取
・皇族の結婚騒動が示す「地獄とは、他人だ」
・安倍元首相銃撃事件でメディアが隠したこと
・政界の裏金疑惑をリベラル化と「説明責任」から読み解く

Part2 善悪を決められない事件
・孤独な若者とテロリズム
・猟奇殺人の原因は「子育て」が悪いから?
・「頂き女子」とナンパ師のマニュアルは瓜二つ
・「闇バイト」に申し込むのはどういう若者なのか?

Part3 よりよい社会/よりよい未来を目指して
・若者が「苦しまずに自殺する権利」を求める国
・学校の友だちはなぜブロックできないの?
・好き嫌いも、政治的信念もじつはどうでもいい?
・SNSはみんなが望んだ「地獄」

Part4 「正義」の名を騙(かた)る者たち
・マイナ騒動は「老人ファシズム」である。「紙の保険証残せ」はエセ正義
・自ら道徳的責任を引き受けた藤島ジュリー景子こそまっとうだ