はじめて森鴎外の作品を手に取った。

日本に一時帰国し、アメリカへ戻る際に立ち寄った羽田空港の書店で、

本書がたまたま目に入り、て面白そうだと思ったのがきっかけだ。

何せ「漱石の「三四郎」「それから」などに呼応する意欲作」とあり、見逃せなかった。

 

物語は、田舎から上京した主人公・小泉純一が、さまざまな出会いを通じて刺激を受けながら、小説家を志す姿を描いている。女性との関わりもありつつ、彼の内面の揺れが丁寧に描かれている。

 

外形的には恵まれた境遇にある小泉青年。

フランス語(時折ドイツ語も)を端々で使っているところからしても、

少しいやらしい感じもあるようなインテリである。

しかし、心の奥にある満たされない虚無感が描かれており、まさにいわゆる青春小説の構成となっている。

 

読んでいるときの自分の気分のせいか、物語に深く入り込むことはできなかったが、

別のタイミングで読めば、きっと強く共感できる作品だと感じている。

 

他の鴎外作品にも、ぜひ触れてみたい。

 

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