哲学で博士号を取得した後、哲学を活用したコンサルティング会社を立ち上げた著者による一冊。

最近の自分自身のテーマである「論点思考」や「質の高い問いを立てること」の重要性が、本書でも説かれている。

これまで読んできた書籍と主張そのものは大きく変わらないが、改めて基本に立ち返り、大切なポイントを確認する機会となった。

今後の課題は、それをどれだけ実践し、継続できるかだ。

本書が提唱する「哲学シンキング」は、以下のプロセスを通じて進行する:

  1. 問いを立てる

    問題の本質を探るための出発点を設定する。

  2. 問いを整理・分類する

    理由や定義、種類、基準といった観点で問いをグループ化する。

  3. 議論を構築する

    問いをさらに掘り下げたり、別の視点から問い直したりする。共通点や違いを分析するプロセスも含む。

  4. 視点を広げる

    問いや意見を極端にしたり、具体例や反例を挙げて新たな視点を加える。

  5. 本質を見極める

    異なる問いや意見を関連づけることで、核心的かつ革新的な問いを発見する。

本書は、答えのない問いに向き合う姿勢や、本質を見極める力、さらには答えが一つではない問題に対するビジョンの提示や意思決定の重要性を示している。
読後、これらをいかに日常で実践に落とし込むかが、自分自身の課題として改めて認識できた。

 

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  • 哲学の役立ち方と意味

    • 哲学は役に立つが、「役に立つ」とは何か、哲学を役立たせる必要があるのかが問われるべき。
    • 役に立たない哲学にも価値があり、「本当にそれでよいのか?」と問いかけること自体が哲学である。
  • 哲学をビジネスで活用する方法

    • 一つの価値規範を疑い、異なる価値規範を調停する解決策を見出す。
    • 「そもそも~とは何か」といった問いを立て、従来の思考の枠を超えた発想を導く。
  • 哲学の三つの意味合い

    • 人生訓や格言。
    • 問いを深く掘り下げる思考。
    • 学術研究としての哲学。
    • 本書では主に二つ目を扱い、基本的・原理的な考え方も含まれる。
  • 現代ビジネスにおける哲学の意義

    • 物事の本質を掘り下げることで、新たな価値規範や競争戦略を生むコンピタンスとなる。
    • 企業や社会が事業の意義や価値を問う機会が増えており、哲学的思考が必要。
  • 哲学的思考の価値と課題

    • 核となる概念や価値を明確化することが求められる。
    • 哲学的問い直しは歓迎されないことが多いが、意思統一や施策の一貫性には有効。
  • 哲学的思考を活用する四つの方法

    • デザイン思考との組み合わせによる価値基準の確立。
    • 問いを深掘りし、プロジェクトや組織の基軸を作る。
    • 複雑なデータや行動の解釈を助ける哲学的分析。
    • 倫理的ジレンマにおける基本的価値の追求と視野の広がり。
  • 「哲学シンキング」の手法

    • 問いを立て、整理し、議論を深めることで革新的な問いや本質を発見。
    • 8~10名でのワークショップ形式が理想。
    • 哲学対話とは異なり、合意形成や具体的成果を目指す。
  • 哲学シンキングと哲学対話の違い

    • 哲学対話は自由な対話を重視し、哲学シンキングは組織における成果を目的とする。
  • 欧米と日本の哲学活用の比較

    • 欧米では哲学者のフルタイム雇用や哲学カウンセリングが進んでいる。
    • 日本では予算や関心の面で遅れており、対話文化の整備が現実的なモデルとされる。
  • ホワイトヘッド哲学との関連性

    • ホワイトヘッドは経営学の教授と議論し、哲学とビジネスの相互影響を示す実例を残している。