最近の問題意識にかなり合致した本だった。

自分自身の「幸福」をしっかり見つめなおすべき。

そして、生きる目的を明確な言葉で表し、その目的に貢献しない活動を削る。

きっと、良好な人間関係はその中でも必須になる。家族・友情。

知らず知らずのうちにに陥っている仕事依存症・成功依存症を脱し、

本来あるべき幸福を追求していく後半の人生を迎えたい。

 

 

  • 高齢者は、若い頃のような画期的な発案や、素早い問題解決はできないかもしれないが、既知の概念を使ったり、既知の概念を他者に表現したりするのは相当うまくなっている。
  • もう1つ曲線があるのではと思っても、飛び移るのは難しいし恐ろしい。しかし思い切って飛んだ人には、必ず莫大な見返りがある。人生の後半は、知恵で他者に奉仕しよう。
  • 新しい曲線へ飛び移るのを引き留めている3つの足かせとは、「仕事と成功への依存心」、「世俗的な見返りへの執着」、「落ち込みに対する恐怖心」である。
  • 成功依存症の人はみんな、恐怖心に駆り立てられている。
  • 幸福になりたいなら、「なんとしても幸福になりたい」、「世間から見た自分の特別度が多少下がることを受け入れて、自己モノ化をやめたい」と正直に宣言しなくてはならない。「肩の荷を下ろしたい」という願望をはっきり口にするのだ。そのために必要なのはプライドではなく、その対極にある謙虚さである。歳を取るほど、ものを蓄積して自分を装うのはやめ、無駄をはぎ取って本当の自分を見つけ、ひいては第2の曲線を見つけるべきだ。
  • 第1の曲線から第2の曲線へ飛び移りたければ、人生にものを足すのではなく、足し続けてもうまくいかない理由を理解したうえで、ものを取り除かなくてはならない。
    • 真理 ❶ 人生は、不満がつきものであり、苦である。 
    • 真理 ❷ その苦は俗事に対する渇望、欲望、執着から生じる。 
    • 真理 ❸ 渇望、欲望、執着を排除することで苦に打ち克てる。 
    • 真理 ❹ 渇望、欲望、執着を排除するには、八正道に従うことである。
  • 自分のWHY(目的)を見つけるべきだ。つまり、自分の中に眠っている真の可能性と幸福に目を向け、生きる目的を明確な言葉で表し、その目的に貢献しない活動を削るのだ。増やすのをやめ、削りはじめたことで、晴れて第2の曲線に飛び移れた。
  • 欲を放置するほど、流動性知能曲線に足を引っ張られ、今の曲線から飛び出しにくくなることを、肝に銘じよう。
  • 毎年誕生日に、自分の世俗的な欲と執着を一覧にする。
  • 世俗的な欲と執着とは、トマスが論じた「お金」「権力」「快楽」「名誉」という分類に当てはまるものすべてを指す。
  • 5年後の自分を想像する──幸福で、心は穏やかである。未来の人生に含まれるどんな要素が、幸福に大きく貢献しているのかを書き出す。それはきっと、信念、家族、友情、そして働くこと自体が満足をもたらすような、有意義な、他者に奉仕できる仕事だろう。
  • 「あと1年しか生きられない、働けない」と思って生きればいい。
  • 毎月、最終日曜日の午後に、今から挙げる疑問について考えるのだ。キャリアも人生もあと1年しか残っていないとしたら、来月の予定に何を入れるだろう? ToDoリストには何を載せるだろう? どの悩みを手放すだろう?
  • 現代社会で成功するのは、恐怖を抑え込むことに最も長けている人たち、つまりあらゆる困難に立ち向かい、弱みを認めず、どんな敵からも逃げない人たちだ。
  • 「重要なことは、富や名声を築くことでも、必死に働くことでもない。この(中略)研究から伝わってくる最も明確なメッセージは、人間関係が良好なら、ますます幸福で健康になっていけるということだ。他に言うべきことはない」
  • 「50歳のときに最も人間関係に満足していた人々が、80歳のときに最も健康だった」
  • 夫婦関係が唯一の友情関係になってしまうのは望ましくないことも、同じくらい肝に銘じておこう。
  • 最低でも2人の親友がいる(配偶者以外に少なくとも1人の親友がいる)人のほうが、人生の満足度と自尊心が高く、抑うつ度が低いという相関関係があった。
  • 人との強い絆があると、第2の曲線に移りやすく、成功しやすい。どんなに内向的な人でも、健全で親密な人間関係がなければ充実した老後は望めない。
  • 既婚者の場合、配偶者と恋愛と友愛をはぐくむことが、成功の鍵だ。
  • 婚姻関係や家族は密な友情の代わりとしては適切ではない。密な友情を築く余地は残しておくべきだ。
  • 友情はスキルであり、そのスキルを磨くには、練習と時間と根気が必要だ。
  • 仕事つながりの友情は、大義を共有している場合は満足をもたらすこともあるが、本当の友情の代わりにはならない。親しくなるには練習が必要だ。
  • 「メンズ・シェド(Men's Shed)」という新たな現象が起きている。これは端的に言えば、高齢男性たちが友情スキルを学び直すための並行遊びだ。孤独な男性たち(引退した人が多いが、全員ではない)が、大切な人からいっとき離れて、木工具のあふれる「小屋(Shed)」で、他の男性たちと並んで、工作に取り組む。
  • 私は定期的に、関係を強化したい人を書き出すようにしている。そして、それぞれの名前の横に、その人たちが私に求めているもの、それも、私にしか与えてあげられないものを書いていく。
  • 「誠実、思いやり、信頼」。その3つを身につければ、息子が可能な限り最良の人間になれると感じた。
  • あなたの本当に欲しいものを手に入れ、第2の曲線に移る心構えを身につけるには、人間関係を構築し、愛の精神に基づいて知恵を共有する必要がある。そのためには、内発的目標へと移行するしかない。内発的な価値観をもっと包み隠さずに口にする必要がある。
  • 第1の曲線から第2の曲線へと移ることで、キャリアの落ち目に逆らうのをやめ、他者を愛するという喜びの源泉へと向かう素晴らしい機会を手にできる。
  • 私たちの世代に一言助言するとしたら、「自分を知ることだ」「それがすべてだ。他に答えはない。他に何をしても、解放されない」
  • 「自分を知るにはどうすれば?」と私は尋ねた。「自分の中へと分け入るのだ。心が研ぎ澄まされれば、あなたを待つ秘宝に気づくだろう」
  • 「この高次元の焦点は、宗教か精神性から得ないとだめなのか」とよく聞かれる。「たとえば、哲学を追求することで得てもよいのか」と。それに対する答えは「イエス」だ。
  • 今人生の過渡期にいて、超越的なものに興味が出てきたなら、それはまさに予定どおりだ。たとえこれまで精神生活を疎かにしてきたとしても、その流れに抵抗しないでおこう。
  • 本当に幸福と成功を実現したいなら、他者に自分をさらけ出すべきで、壁を作ればむしろ傷つく。
  • リスクを冒し失敗を厭わないこと、つまりブラウン好みの表現をすれば「果敢に挑戦する」ことは、確かに重要だ。でも真の達人は、不可避な失敗、たとえば成功した人生の後に必ず訪れる落ち込みから、人との深いつながりを引き出す。
  • 私は強さではなく、弱さを見せたからこそ、そうでもしなければ出会わなかったはずの人たちとつながれたのだ。
  • 誰かと深くつながりたいときに、強さや世俗的な成功はあまり役立たないということだ。見せるべきは弱さである。
  • 人はあらゆる苦しみのなかに、生きる意味と個人の成長を見出せる。何も隠さず、その結果も気にせず、ただありのままの自分でいることで、心身ともにくつろいだ状態になる。
  • 謙虚でいること、自分らしくあることに、何の無理もない。ここまでくれば、もう第2の曲線に飛ぶ準備はできている。
  • 人生にも引き潮がある。それが流動性知能から結晶性知能への過渡期だ。とても充実した、実りの多い時期だ──第1の曲線から第2の曲線へと飛び移る。
  • 成功依存症と向き合う。人生の無駄を削る。死について考える。人間関係を築く。林住期(ヴァーナプラスタ)を始める。待つ人、がんばる人、犠牲を払う人、場合によっては苦しむ人には、良いことがある。
  • キャリアを積むうえで犯しがちな大きな過ちの一つは、仕事を主に目的達成の手段とみなすことだ。あなたもこれまでずっとそうだったかもしれない。もしそうなら、あなたがやってきたことは、多くの人が流動性知能曲線にいるときにやり、過ちだったと気づいてやめようとしていることだ。目的がお金であれ、権力であれ、威信であれ、仕事が手段と化せば、不幸が待っている。正しい目標を掲げれば、つまり成功して他者に貢献することを目指せば、残りのキャリアは、キャリアそのものが報酬になる。自分にできることのなかで、最も興味のあることをやろう。
  • 楽しさと意義の重なる領域が興味だ。本当に興味を引くものは強い快感をもたらす。そして、意義のないものに興味を持ち続けることはできない。だから、「この仕事に心から興味を引かれるか?」と問いかけると、新しい活動が自分のマシュマロかどうかを測る有効なリトマス試験紙になる。キャリアの軌跡は直線でなくてもいい。