組織を跨ったソリューションを顧客に対して提示するためには、

どのような組織デザインを組むべきかを考えており、組織論を語ったこの本を手にとった。

 

主張が明確であり、文章もわかりやすく、読み物としても面白かった。

そして、時折ハッとするような内容にも出会えた。

  • 問題を処理するのはヒトであって、組織構造ではない。
  • 個別の案件ごとにバランスをとっていくのは、組織構造そのものではなく、その構造の下で働いているヒトである
  • 現場がしっかりしているから、足腰がしっかりしているから、ミドルは問題の本質を考え抜くことができ、トップは戦略を思考する余裕を初めて獲得できるのである。
  • 企業組織のような社会システムを運営する上で日常的に一番重要なのは自己実現欲求などではなく、それよりも低位の承認・尊厳欲求である。
  • ボトルネックに注目しながら組織を設計し、そこで働く人々の評価を適切に加えながら動機づけていけば組織はうまく動いていくはずだ。
  • トップ・マネジメントは、まず社内のエースが誰なのかを明確に認識し、そのエースたちには本当に決断を必要とする重要な仕事しか回さないようにすることが重要。
  • 複数の部門の調整を担当するポスト(リエゾンと言う) を作らないこと、できる限り直接当事者が話し合うようにすることである。
  • 「大人しい優等生」たちは、一見優しそうな良い人なのだが、実は組織全体が長期に保つべき健全性に対して無責任である。
  • たしかに組織は設立から年数がたち、規模が大きくなっていくにつれて、腐っていく傾向がある。

同著者の本は、以前に「経営戦略の思考法」を読んだことがあり、

それもよみやすく面白かった。

 

この著者の本をもう少し読んでみたいと思い探してみたが、

最近はあまり本を出しておらず、あったとしても専ら戦略ケースブックが多い。

また、本書に関わらず、組織デザイン・組織戦略の本がそもそもあまりなく、

今後同領域における知見を深める上で、英書に手をつけなければならないと感じている。