「マニピュレーター」

人を追い詰め、その心を操り支配しようとする者をこの本ではそう呼んでいる。自分の上司の取り扱いに悩んだ時に手にとった本だ。https://amzn.asia/d/9Vthl49

 

例えば、マニピュレーターとは以下のような人たちのことだ。

  • 「応援するよ」と励ましながら、部下の昇進をにぎりつぶす上司。
  • 上役の歓心を買うためならひそかに仲間を陥れようとする同僚。
  • 相手の人生を思いのままにしたいがために愛を口にして気づかう夫や妻。
  • 自分のわがままを押し通すためなら親の心の急所ボタンをためらうことなく押す子ども。

人あたりもよく、うわべはとても穏やかだが、その素顔は悪知恵にあふれ、相手に対して容赦がない。ずる賢いうえに手口は巧妙、人の弱点につけこんでは抜け目なくたちまわり、支配的な立場をわがものにしようとする。

 

まさに、その時の自分の上司の姿だと思った。とにかく、自分の有利な展開になるようにあらゆる局面を想定し、戦略を練って、先手を打つ。そういった人の影響下で、無防備にしていると自分の人生を操作され、支配されてしまう。残念ながら自分もそういった状況に晒されていた。

 

こうしたマニピュレーターの犠牲者になるのを避ける方法として以下を挙げている: 

  • 人間の本性や行動に関して、危険を招くような誤解から自由になる。 
  • 相手の性格を正しく評価できる方法を知る。 
  • 自己認識力を高める。自分の性格のうち、つけこまれやすい弱点となる部分についてはきちんと把握しておく。 
  • 相手がどのような手口で操作しようとしているか、そのかけひきの手口を見極め、それにふさわしい方法で対応する。 
  • 負けが避けられない争いには手を出さない。
  • 相手がどんなかけひきに出てきてもいいように、いずれの策略にも動揺しない。
  • 相手がなぜこんな行為におよぶのか、それに対して〝深読み〟をしたり、あれこれ思いを巡らせたりしない。
  • 相手の性格を誤りなく判断するために必要な情報とは、その行動パターンでしか得ることができない。
  • マニピュレーターを相手にするときは、「私は」という主語ではっきりと語るようにして、ほかの人間の意見を代弁しようなどと考えない。

今の世の中、勝利することが過剰に奨励されている。個人が自己達成や尊厳のためにどのように闘いに臨もうとしているのか、こうした点はほとんど評価されていない。アメリカンフットボールの名将、ビンス・ロンバルディはこんな言葉を残している。 「勝つことがすべてではない。それはただ勝負に勝ちをおさめただけのことなのだ」

 

言わんとしてることは「額に汗する」ことこそ褒めるに値する、ということだ。これは健全な自己評価を育むために欠かせない。青少年はスポーツを通じ、自己の内的エネルギーを抑制して健全な方向に導いていく方法を学ぶとともに、チームワークを通じて共同体の一員という意識を養う。さらに自制心を学ぶことでみずからの性格を育てる。

 

自分も、こうした生きる際の基本姿勢に立ち返って自分自身を見つめ直す必要がある。そして、自分の子供たちが被害者、あるいは加害者にならないように、こうしたことを教えて行かないといけない。

 

最後に、本書の要点が以下の引用に凝縮されていると思ったので紹介する。

 

「誠実で真に価値ある人生へと高めていくには、自分という存在をあますところなく覚醒させることによってしかなしとげることができない。そのためには他者を知るようにみずからを理解しなくてはならず、おのれをあざむいて、あるがままの自分を拒むことはできない。ただ誠実にみずからと向き合い、自分の性格をすべての点から丹念に調べ尽くさなくてはならないのだ。そうすることによってはじめて人は、みずからを律するという重荷を思いのままに担うことができるようになるのだから、それは他者のためであるのと同時に自分自身のための行いでもある。」

 

誠実に自分と向き合い、自分のことを理解することが唯一の対処方法となる。自分としては、これを引き続き深堀りしていきたい。