どうも、齋藤です。
昨日、表参道で舞踏を観劇してきました^^
ピアノの生演奏で進行する密度の濃い踊りの連続でした。
ラヴェル作曲の亡き王女のためのパヴァーヌで始まり、亡き王女のためのパヴァーヌで終わるという曲の構成でした。
男女の別れから舞台はスタートします。
別れの踊りで始まり、そこから時系列を追うように男女の出会いや心の動き、そして告別までが描かれていきました。
今回の舞台は男性の心理や葛藤にスポットが当てられていて、踊り、音楽、衣装、舞台装置すべてが心の動きを表していたように感じます。
劇中に現れる男性はおそらくドン・ジョヴァンニのような女たらしのようなキャラクターとして作られていると思います。
一方で劇中に現れる女性は、音楽の効果もあるのでしょうが僕は清楚なキャラクターに感じられました。
劇中ではリストが作曲した「エステ荘の噴水」が使われていましたが、湧き出す水のようなピュアな踊りが印象的でした。
気功師的な視点での印象になるのですが、水が湧き出すようなセンターを使った踊りが見事でした。
劇中の男性は伊達男ですが、女性が消えてしまったことへの悲しみに明け暮れ、自分の闇を切り捨てることのできない男性としても描かれます。
見方によっては女々しい男性ですが、僕自身も女々しい男性の自覚があるので、その女々しさに共感を覚えました。
また、劇中で男性が女性に対して手を伸ばすシーンがあるのですが、その時の下心に満ちた微笑みにも共感を覚えました。
一方で女性は、男性からのアプローチに葛藤するような踊りがあり、湧き出す水のような清らかな踊りがあり、また男性を心待ちにするような愛らしい踊りもあり、打算などが感じられないピュアな女性のように思いました。
僕が女性心理に疎いせいか、恋に落ちた女性はこのようになるものだろうか?という感想をいだきました。(多分、そうなのだと思いますが)
劇の後半で男性は赤い衣装を身にまとって現れます。
赤い衣装をまとった男性と女性はともに踊りますが、男性はその赤くなった心で女性を傷つけてしまいます。
これも男性なら誰もが心当たりがあるような場面のように思います。
それでも最終的には女性は男性を受け入れ、ハッピーエンドで終わるかと思いましたが、気がつけば女性はいなくなり、男性だけが残されてしまいます。
男性はひとり思い出とともに踊り、最後にカサブランカの花を捧げます。
思い出にカサブランカの花を捧げる男性の傍らに、喪服の衣装をまとった女性が寄り添いながら舞台は終わりました。
余談ですが、ラヴェルは記憶障害や言語障害を患って徐々に日常生活に支障をきたすようになります。
ある日ラヴェルは亡き王女のためのパヴァーヌを耳にしたときに、この美しい曲は誰が作ったのか?と周囲に尋ねたという伝説が残っています。
そんな逸話を知っているせいか、なんとも言えない哀しさを感じる舞台でした。
さらに余談ですが、これまでパヴァーヌ(Pavane)は葬送の曲だと思ってましたが、正式には男女による行進の舞踏でした。
舞台を見た後に知り合いに「pavaneは葬送の曲なんだよ」とドヤってましたが普通に間違いでした。
そんなわけで、なんとも締まりませんがカサブランカを観た感想はここで終わりたいと思います。
余談に余談を重ねて、ムカデのように蛇に足を生やしてしまうのですが、明日はフォーレが作曲したエレジーを都内某所で演奏してきます。
この曲もおそらくは悲恋をテーマにしているので、このタイミングでカサブランカを観れたのは刺激になりました。
また、Pavaneはフォーレが作曲したものもオススメです。