ニューウェーブ4人衆 | Cobalt Blue

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CDやレコードのお話

80年代前半和製AORが開花したちょうどその頃です。
ニューミュージックと呼ばれたカテゴリから、系統樹の如く多種多様なジャンルが進化していきます。当時はカテゴリ分類も大雑把です。この80年代の前半にはAORやそこから更に派生していったAC(アダルト・コンテンポラリー)の萌芽も見られているのですが、ジャンルとしては大きな括りで全てニューミュージック、都会的で洒脱な音楽という意味でシティ・ポップスとも言われていました。ラジオなどでの曲紹介でも「大人のための音楽」等と表現されていました。ジャンル分けによる分類が音楽の急激な進化に追いついていない状態だったわけです。
こういった背景で出てきたコンピレーションの一つが、東芝EMIによる「ニューウェーブ4人衆」です。ニュー・ウェーブというジャンルは世界的にはパンク・ロックから派生したジャンルを示しますから、実は全然中味と合ってないんですけどね。
と、まあ細かい話は置いておいて、この「ニューウェーブ4人衆」ですが当時東芝EMIに在籍していたアーティスト4人を指します。井上鑑、鈴木雄大、安部恭弘、稲垣潤一。メジャーシーンでは稲垣潤一がダントツの知名度でしょう。



 
MODERN WAVE 新しい世代の4つのキャラクターたち (analog LP) (1983) 表ジャケ
そのニューウェーブ4人衆のコンピレーションの一枚目がコレ。
ニューウェーブでなく、MODERN WAVEと命名されています。
新しい音楽の波を創りだす4人のアーティストと言った意味でしょう。
まあぶっちゃけ東芝EMIの広告戦略なんですけど。


 
MODERN WAVE 新しい世代の4つのキャラクターたち (analog LP) 裏ジャケ
右下で頭を抱えているのが今回のブログの主役、鈴木雄大です。
何でまた選びに選んでこの写真なんだ、です。




 
鈴木雄大 - FRIDAY NIGHT (analog LP) (1983) 裏ジャケ
その答えはこちら。
鈴木雄大のデビューアルバムの裏ジャケ。
なんでまたこのポーズ?




GHT (analog LP) (1982) 表ジャケ
表ジャケットを見ると先ほどの裏ジャケとは一転、まさにAOR系で大人の都会の夜をテーマにしたらこんな構図になりました、といった感じのナイスなジャケットです。アルバムの楽曲はAORと歌謡曲の中間、進化過程といった感じで仕上がっています。
この後、鈴木雄大はセカンドアルバム "YUDAI"を経て、5thアルバム "STREET OF ECHOES"で超進化します (私見)。特にファンハウス移籍後、FUNK系の数枚は「おおすげぇ」です。同じファンハウスだった遅れてきた天才、横山輝一先生にも影響を与えているんでしょうか。先ほどのMODERN WAVEには、このアルバムからの2曲、"FRIDAY NIGTH"と"19.600.000の悲しい夜と眩しい夢"が入っています。
後者はアルバムと同時にシングルで発売されましたが、前者のほうが都会的なこのジャケットにあっている印象です。



 
鈴木雄大 - FRIDAY NIGTH (analog EP) (1983)
デビューLPアルバム "FRIDAY NIGHT"の翌年シングルカットされました。
鈴木雄大は、ちょっと鼻にかかった高いキーがとても特徴的です。
私的には、声の出し方が松原みき系と密かに分類しています。
ちょっと話が脱線しますが、松原みきはAOR系のまさに先陣の一人でした。
残念ながら40代に子宮頸がんでご逝去されています。




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松原みき - ベスト・コレクション (CD) (2008)
ジャケット的に何かイマイチですが手持ちのCDがコレしか無かった・・
このCDにも入っていますが、デビュー曲 "夜中のドア~Stay With Me" は、1979年。80年代のAOR全盛期の先頭集団の一人です。メロディラインも、ベースラインも、音質も有り得ないほど先を走っていました。最近見直されているシティ・ポップス系のニューアルバムと言われても全く違和感がありません。Jazz系の素晴らしいシンガーで、"夜中のドア"以外にも驚くような良曲が揃っていてお勧め。





あれは、誰だ、誰だ、誰だ
鈴木雄大の項は続きます。