うちの嫁さん,珍しく私に言ってきます。
私のフライトジャケットを手洗いで洗ってくれると。
何の魂胆があって言ってるのだろうか?
少し引っ掛かるけど、じゃあと言うことで9着程廊下に出した。
それ以降、うかつにもジャケットから目を離してしまった。
30分程して「お父さん、ジャケット破れてるよ」と言って来た。
イヤっ!そんなはずは無い。
私の一番大事にしてる朝鮮戦争の米軍パイロットのフライトジャケット。もしかしたら、マリリンモンローの慰問リサイタルの場にいたかもしれない代物。
このジャケットを眺めてコーヒーを飲むと、いつまでも時間が潰せます。
そんなに眺めているジャケットに、破れなど有るはずがないのです。
でも左肩の縫い目に10センチほどの破れ。
もうショックで…、嫁が100%犯人なのですから。
でも尻尾をつかまないと…。
「それで、どうやって洗ったの?」と聞いたら、「浴室に沈めて足で揉んだ。」
さっきの手洗いする〜はどこに行った…。前足という意味か?
「ジャンバーの中に空気が溜まったと思うけど、それをどうやって抜いた?」と聞くと。
「足で踏んづけたよ」と…
呆れるやら、アホに渡した自分に腹が立つやら…。
フライトジャケットは、洋上で救命胴衣の役目もあって、濡れると空気が抜けないように作られています。
ジャケット内の空気は簡単に抜けないので、力任せに空気を抜かず、ゆっくり時間をかけて押し出すしかないのです。
雑な嫁のこと、ジャンバーの上から勢いよく足踏み行進したのは、ほぼ間違いありません。ヤロー!
あーあ、70年間無事でいたフライトジャケットが一瞬にしてパー。
もう呆れて口も聞けませんでした。
それから30分、嫁は似た色の糸を買って来てコツコツと補修していました。
私の怒りがピーク過ぎて家中ピリピリしてたからね。
ジャンバーの内側を縫い目から開けて、表面を補修後、内側も補修したと。
嫁さん、昔は振り袖などを縫う和裁士だった。
余りに昔すぎて忘れてた。
ついでに「このジャケット縫い目が荒いよ」と言っていた。手縫いなのに、ミシンよりも嫁は細かく縫えるようで…。
どちらの肩が破れてたのかわからない程に。
綺麗に直してくれたので、私もニンマリ。