というわけでだいぶ久しぶりにブログでもCDレビューをしようかと。
まずは1枚目
本日発売STRYPER「The Final Battle」
1. Transgressor
2. See No Evil, Hear No Evil
3. Same Old Story
4. Heart & Soul
5. Near
6. Out, Up & In
7. Rise To The Call
8. The Way, The Truth, The Life
9. No Rest For Wicked
10. Till Death Do Us Part
11. Ashes To Ashes
12. Near(Alternate Mix)(Bonus Track)
LAのベテラン・クリスチャン・メタル・バンドの通算12枚目のスタジオアルバム。90年代に一度解散し、2000年代に再結成し本格復帰してからも15年以上経ちますが、再結成後のほうがよりメタル然としたサウンドとアグレッシヴさが増し2011年のLOUDPARK にて22年ぶりの日本公演を果たし往年のファンはもちろんあまり聴いてこなかったメタルファンの度肝を抜いたのは記憶に新しい。その後は精力的にアルバムを約2年おきくらいには発表し、2016年、2019年の2度に渡り単独来日子円も果たしている。
今作は前作「Even the Devil Believes」から約2年とやはり定期的な発表ではあるがかなり充実しており作品的には前作を踏襲しつつ、マイケル・スウィートの強力なハイトーンボイスを筆頭にメロディもギターリフも分厚いコーラスも健在。すべて彼らの持ち味であることは当たり前なのだが、やはり楽曲がここ数年のアグレッシブさプラスアルファを求めていたファンにとってもさらに充実しているのは嬉しい限り。バンドも40周年を迎えるにあたり一貫してぶれない姿勢を保つのは容易ではない。80年代のポップでキラキラした要素も彼らの持ち味であったが、あれは当時のレコード会社の要求であり本来彼らがやりたかったのはメタル然としたアグレッシブなサウンド。再結成後は縛られることなく理想のサウンドを求めつつ旧来のファンを満足させるための妥協点を模索し、彼らのルーツであるカバーアルバムや80年代のセルフカバーアルバムを出すことにより現在位置を確認しつつ、またそこから新しい何かを取り入れたことによって方向性が変わってきたことは何度もあるが、彼らの持ち味が何であるかということをこのアルバムでまた再認識させてくれた。これやヘビロテ確定。やはり何度も聴けるアルバムは良作なのですよ。
続いては
今月発売QUEENSRYCHE「Digital Noise Alliance」
1. In Extremis
2. Chapters
3. Lost in Sorrow
4. Sicdeth
5. Behind the Walls
6. Nocturnal Light
7. Out of the Black
8. Forest
9. Realms
10. Hold On
11. Tormentum
12. Rebel Yell(Bonus Track)
シアトルのベテラン・プログレッシブ・メタル・バンドの通算16枚目となるスタジオアルバム。
バンドの顔でもあった初代シンガー、ジェフ・テイトの解雇騒動により空中分解寸前にまで陥ったものの、後任シンガー、トッド・ラトゥーレの加入により従来のイメージを損なわずバンドの再生・継続に成功。あれから約10年経ったがトッド加入後としては4枚目のアルバムとなる本作では”ジェフの亡霊”を払拭するようなトッドのカラーを出しつつ従来のQUEENSRYCHEサウンドを継承。初期のメタル然としたアルバムと叙情的な名作「Empier」のちょうど中間くらいの質感なのが心地よい。
2019年発表の前作「The Verdict」から格段に楽曲が良くなっており、バンド内の雰囲気も良いように見えたがドラマーとギターが相次いで脱退。今作はかつて在籍していたギタリストのマイク・ストーンが復帰し、 近年ツアー・ドラマーとして起用されていたケイシー・グリロを正式メンバーに迎えて制作された。なのであまりサウンド面に関しては問題ない。今作も楽曲の粒が立っており、1曲目から3曲目の流れは圧巻。更に曲間をシームレスにしていたりとスリリングな展開にしている辺りはアルバム単体としての流れも重要視しているようにも思える。とにかく楽曲が充実していると複雑な展開でもすんなりと印象に残る。彼らもようやく第二の黄金期を迎えたに違いない。
そして最後は
先月発売されたMEGADETH「The Sick, The Dying... And The Dead!」
1. The Sick, The Dying… And The Dead!
2. Life In Hell
3. Night Stalkers (Feat. Ice T)
4. Dogs Of Chernobyl
5. Sacrifice
6. Junkie
7. Psychopathy
8. Killing Time
9. Soldier On!
10. Celebutanté
11. Mission To Mars
12. We’ll Be Back
13. Police Truck (Bonus Track)
グラミー賞を受賞した傑作「Dystopia」から早6年、通算16枚目となる新作はもうあれ以上の傑作はないだろうと思っていたのであったが、まさかあれ以上にこれほどまでに強力な作品を作り上げてしまうとは。デイヴ・ムステインという男はやはりただものではなかった。
とにかく先行シングルで聴いた”We’ll Be Back”の破壊力は凄まじかった。40年に及ぶキャリアにおいてまだこれほどまでに強力な楽曲が作れるのかと。そしてアルバム全曲聴いてさらに驚く。切れ味の鋭いギターリフ、テクニカルで激しいギターソロ、渋みの増したボーカルに程良いキャッチーなメロディと緻密な構成の楽曲。「捨て曲がない!」
この6年の間にデイヴ自身にも様々なことが起こったそうであるが、やはり咽頭癌に罹ってしまったことが大きな分岐点であったのであろう。ある意味死を覚悟しなければいけない所に立たされたのだが、幸いにもそこから早期復活ができ治療後の経過も順調。彼の中でも様々な思いや経験がこのアルバムの中に集約されているのだと思う。
前作より加入したキコ・ルーレイロの華のある流麗かつ円熟味のあるギターソロも更に増し、今作よりレコーディングに参加したダーク・ヴェルビューレンのドラムもタイトかつ手数も多く存在感この上ない。そしてTESTAMENTのスティーヴ・ディジョルジオがベースで参加しておりドラムに引けを取らない存在感のリズム隊としての良い仕事をしている。
まぁとにかく先月はこのアルバムを聴きまくったなぁ。今年のベストアルバムは今のところコレだな。ちなみに来年2月に日本武道館での来日公演が決定したのですが…個人的にはパスかな。30年前に急遽キャンセルという事件があったので日本武道館の公演はデイヴにとっても悲願なのでしょう。当時キャンセルで行けなかった方々はどうぞ観に行ってやってください。
というわけで久しぶりのCDレビュー、全部ベテラン勢でしたが、40年選手が今でも一線というのが嬉しいのですよ。