
あまり観る気はなかったのですが、私の周りや各方面で絶賛されていたのでとりあえず観ておくかと思い、せっかくなのでふじちゃんカードの満点カードを使って4DX版を半額で鑑賞することに。
唐突に始まり、矢継ぎ早に進められるストーリーと細々としたカットや台詞でテンポ良く進められるれる序盤から、多数の名だたる出演者に驚かされ、中盤のゴジラの破壊シーンの作り込みにただただ圧倒され、終盤のゴジラ撃退からラストシーンにおいては少しせつなさの残るところで了。個人的には久し振りに感動した特撮というかアクション映画でしたね。特に4DXで観たので随所で揺れるわ、風は吹くわ、水はかかるわ、カメラアングルと同期するわでアトラクション風味満載でかなり楽しめましたし機会があればもう一度観たいと思いました。
まぁ、庵野秀明氏が総監督という事もありもうまるっきり「エヴァンゲリオン」の世界観というかフォーマットそのまんまなんですよね。あの緻密な感じの。ですからエヴァファンや観たことある方ならすんなりと入って行けると思われます。視点も「国家防衛対ゴジラ」であり「現実対虚構」。これが軸となっているので無駄な人間ドラマや恋愛シーンなどがありません。どちらかといえば特撮、ミリタリー、SFオタクが究極のゴジラ映画を作ったとでもいえましょうか。なので賛否あると思いますが、私はこういう割り切った世界観好きですね。そもそも万人受けするものを作ってしまったらそれだけで妥協が生じて中途半端な駄作となってしまいますから、良くも悪くもどちらかに振り切れていればいいんじゃないかと。
メインのゴジラは狂言師の野村萬斎氏の動きをモーションキャプチャで取りいれたCGであり、いわゆる着ぐるみのゴジラではないが、限りなく着ぐるみの動きの質感が表現されているところに、並々ならぬ特撮ならびに初代ゴジラへのリスペクトが感じられる。
音楽が初代ゴジラのメインテーマからフリゲートマーチ、果てはエヴァのヤシマ作戦シーンでおなじみの「Decisive Battle」に似た曲までが登場し完全に庵野ワールドのフィールドで勝負しているところに潔さを感じる。
またゴジラ生誕の経緯が水爆や核兵器にあることで放射能というエンタメでは比較的タブーに近い題材や国家の危機管理対策の脆さををあえてどうとでも捉えられるノンポリの視点で描いているところにすごく共感、というか納得。この部分完全に賛否議論の的になるであろうと思われるのだがここは20年前のエヴァの教訓が何となく活かされているのかも、と個人的には思っています。
見どころはやはりゴジラのシーンですが、モブのエキストラもわりとリアル感が出ており目を引きます。しかし何といっても出演者が驚くほど豪華なのですよ。
竹野内豊、長谷川博己、高良健吾、大杉漣 余貴美子、柄本明、國村隼、平泉成、市川実日子、ちょい役でもピエール瀧、古田新太、片桐はいりなどなどなど。演技力云々というよりも役者さんたちの個性が前面に出ていたなぁという感じですかね。印象には残ります。
でもやっぱり石原さとみの胡散臭さが私は一番好きでしたね。何というかこの映画、「99%のリアリティと1%の虚構で」出来ていると思ったのですが、 アレこそが「虚構」だったのかも、ええ。(´ω`)