A-24 新傾向

スミスチャートに関しては過去にも何度か出題されていますが、今回はまた新傾向の問題となっており一陸技令和3年7月期(2回目)無線工学A(FA308)A-18から派生したような問題です。

 

それでは解いていきましょう。

(1)スミスチャートではインピーダンスは正規化されて表示されます。この「正規化」とはある決められた値のインピーダンスが「1」として表わされるように変換することをいいます。一般的にはこの「ある決められた値」は50[Ω]または75[Ω]が選ばれます。純抵抗成分では50[Ω]が「1」になるように、与えられた抵抗値Rを50で割った値(R/50)が正規化された値になります。同様にリアクタンス成分も+j50[Ω]が「+j1」になるので。正規化するには与えられたリアクタンスXを50で割れば(X/50)正規化された値が得られます。

 

従って50[Ω]で正規化した場合、スミスチャート上ではインピーダンスZ=R+jXはZsmith=(R/50)+j(X/50)として表されます。問題に与えられた点は0.5ーj0.5ですから0.5ーj0.5=(R/50)+j(X/50)よりR=25、X=ー25であることが分かり、実際の値は25-j25となります。

 

(2)スミスチャートはLCR直列回路のインピーダンスの表現に使います。ちなみにLCR並列回路ではアドミタンスチャートという、スミスチャートを左右反転させたようなチャートを用います(一陸技で出題されました)。さて題意より抵抗成分が直列に接続されると、抵抗値は大きくなります。すなわち正規化された値も大きくなるので等リアクタンス線上を(a)の方向に変化することになります。

 

(3)(2)同様に考えるとコンデンサが直列に加えられると合成容量は低下するもののそのリアクタンスは増加*するので、リアクタンスは負の方向へ変化します。つまり等レジスタンス線上を負の方向へ移動する形(b)をとります。

 

*コンデンサのリアクタンスXcはXc=1/(1ωC)で表されます。一方でコンデンサCaとCbの直列接続では合成容量Call=Ca・Cb /(Ca+Cb)となり、CaまたはCbより小さな値となります。従ってそのリアクタンスXallはCa(またはCb)のみのときよりも大きな値をとることになります。

 

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