A-2 新問

過去にはMPEG-2についての問題(令和4年7月FA407 A-2など)はありましたが、見たことも聞いたこともない(笑)HEVCが出てしまってはもう諦めモード突入というところでしょう。しかしながらよく見ると画像圧縮の基本的知識があれば選択肢を選ぶことができる問題でした。

 

1 × 「平坦な絵柄や一様な動きの領域についてはCUのサイズを大きくすることで符号化効率を向上できる」が正しい(CUのサイズが小さくなると符号化処理が必要なサンプル数が増えるので効率は低下する)。また下表に示すように可変ブロックサイズ(64x64〜8x8)となっている。

筋誡 久、市ヶ谷淳郎「新4K8K衛星放送の特徴・情報源符号化と伝送技術」

通信ソサイエティマガジン No. 49 夏号 2019より抜粋

https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/13/1/13_12/_pd

 

2 〇 上表より画面内予測はDC(直流分)予測+方向性予測(最大33方向)+planar(平面)予測がある。方向性予測では、下図のような白色方形の画素値を予測する場合は、灰色方形の位置の画素を参照画素とし予測方向(緑矢印)に基づいて予測値の生成を行う.

 

坂東幸浩「映像符号化技術の最前線:HEVC」

IEICE Foundamentals Review Vol.7 No.3 pp186-196. 2014

https://www.jstage.jst.go.jp/article/essfr/7/3/7_186/_pd

 

3 〇 予測ブロック毎に参照画像を特定し複数の参照画像から動き予測を行うことができる。

鈴木輝彦「新しい画像符号化技術:フレーム内符号化とフレーム間予測符号化」

映像情報メディア学会誌 Vol.67 No.7 pp537-540, 2013

https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej/67/7/67_537/_pdf

 

4 〇 HEVC ではブロック単位での量子化により、ブロック境界部において隣接ブロック間との滑らかな変化が失われ不連続なひずみが発生する場合がある。このひずみをブロックひずみといい主観画質を大きく損なう要因となる。

 

5 〇 符号変換処理のために2 種類の直交変換 (DCT:離散コサイン変化 discrete cosine transformとDST:離散サイン変換 discrete sine transform)が用意され、TU(transform unit)サイズに応じて切り換えられる。TUサイズが4×4の場合はDSTが、それ以外の場合はDCTが用いられる。