<過去問同じ FK107 A-5>

与えられた回路(図2)においてテブナンの定理を用いて考えていこう。まず、端子ab間が開放された状態での①電圧Vab(最近知ったのですが電験界隈ではVabは2点間の電圧ではあるもののbを基準としたaの電位であり、プラスマイナスの符号に留意しなくてはならないという説もあるようですが、ここは無線工学の領域ですからそんなことは気にしないで単なる「電圧」としてプラスマイナスの向きは無視して考えて下さいませ:笑)②ab間の合成抵抗値(すべての電圧源=0[V]・・・電圧源を短絡させて考える)を求める。

 

①電圧Vab

並列になっている電池群は電池5個の直列という構成であるから下図のように

5Vの電池と内部抵抗5rにまとめられ、全ての電池群の電圧は5Vで同じとなる。従って端子abが開放のとき、並列接続されている電池群に電流が流れることはない。このとき各電池内の内部抵抗rによる電圧降下は生じないからVab=V×5=5V[V]である。

 

②ab間の合成抵抗値

すべての電圧源=0[V](短絡)と考えると図2の回路は以下の様に書き換えられるので

5Rの6列並列回路に等しいから合成抵抗値Rallは

と計算できる。①②を用いてテブナンの定理より本回路は以下の回路と等価と考えられる。

ここに負荷を接続したときその消費電力(=電源の出力電力)が最大になるのは内部抵抗と同じ大きさの抵抗を接続したとき(後述)であるから、流れる電流iは

となる。従って負荷で消費する最大電力P(=電源の最大出力電力)は

が得られる。お疲れ様でした。

 

実はこれも似たような問題が電験三種で出題されています。下記ブログの中で、負荷の消費電力が最大になるのは負荷と内部抵抗の値が等しいとき、ということを導出していますので興味がある方はご参照下さい。

 
【おまけ】
さてFK302 A-6にはこの類似問題が出題されています。テブナンの定理をつかって等価回路を電圧源と抵抗で表して、負荷として接続された可変抵抗の最大消費電力を求める問題です。