This translation is a draft for Japanese WSJT-X users and may need some correction, and is not intended for commercial use and distribution. All rights are reserved by the original writer W1JT Joe.

Ver1.6からの変更点
1.    新しいモード:ISCATMSK144QRA64
2.    新しく設定されたサブモード:JT65B-CJT9B-H(広帯域・高速)
3.    JT65KVデコーダがFTデコーダに置換:KVASDは使用されなくなった
4.    JT4JT9およびJT65デコーダの改良
5.    WSPRと同様に、JT65でマルチパス・デコーディングが搭載
6.    Rig Controlに対する多くの改良
7.    EMEドプラ・トラッキングにおける便利な機能の改良
8.    複数の設定(configuration)が保存・呼出可能
9.    サンプル・ファイルのダウンロード機能
10. Fastモードでの自動シークエンシング(オプション)
11. MSK144でのコントスト・モード
12. 各バンド毎の送信・同調に関する設定の呼出機能(オプション)
13. WSJT-Xユーザーガイドが多くの点で改良・補足された
 
新しいモード
1. MSK14450MHz以上の周波数での流星散乱(meteor scatter)を目的としている。このMSK144K9ANスティーブ・フランクによって作られた低濃度パリティ・チェック・コード(LDPC)を使用している。このモードは今や消滅した実験的モードであるJTMSKの直系の子孫にあたり、流星の弱く短い反射波においてもより良い性能が得られるよう多くの改良がなされている。FSK441147字毎秒と比べ送信速度は約250字毎秒(cps)と効果的なものになっている。JT4JT9JT65QRA64と同様にMSK144は強力な前方エラー訂正法を使用している。メッセージの解読は「すべてか何もないか」の状態となる。一部だけの解読ということは起こらないので、画面上に余分な文字は写ることはないのだ。
 
 標準のMSK144メッセージ・フレームは72ms長であり、同等のFSK441メッセージの約120msに比べ短時間である。MSK144の波形は干渉復調(coherent demodulation)が可能であり、結果として3dBほど高感度となっている。交信相手とコールサインを交換した後に、僅か20msのフレームではあるが、このフレームに収まる短いメッセージを送ることもできる。WSJT-Xに搭載された全ての高速モードと同じく、72ms(あるいは20ms)長のメッセージは間隔無しで送信サイクルの間繰り返される。多くの場合我々は送信/受信(T/R)サイクル15秒を推奨するが、5秒ないしは10秒にも対応している。
 MSK144のショート・メッセージ(Sh)は主に、ほとんどの低密度の反射波(underdense pings)が短時間しか生じない144MHz以上の周波数のために設けられたものである。このショート・メッセージには完全なコールサインは含まれない;代わりにレポート、謝辞または73とともに2つのコールサインからなるハッシュ(暗号化データ)を含んでいます。ショート・メッセージは進行中のQSOの一部として、交信の相手局のみによって完全な形に解読されます。その理由は、受信されたハッシュが「自局のコールサイン」と「相手局のコールサイン」からなる(既知の)文字列によって作成されるハッシュと一致するのはその時(すなわち交信中)でしかないからです。従ってあなたが他の人のQSOをモニタしていても、ショート・メッセージを解読することはできないのです。
 
 MSK144は「コンテスト・モード」で、標準QSO交換の際のシグナル・レポートの代わりにグリッド・ロケーターを送信する機能を有しています。
 
 MSK144の信号は典型的なSSB送信機の帯域幅を占有するので、送信の中心(周波数)は1500Hzの変移があります。最良の結果を求めるなら選択可能あるいは調整可能な受信および送信フィルターを300-2700Hzで平坦になるようにセットすべきです。自局と相手局の周波数のずれの最大許容範囲は200Hzですが、少ないほど良いです。
 
2. QRA64は月面反射(EME)もしくは微弱信号用に作られました。その内部コードはIV3NWVニコ・パレルモによって生成され、K1JTによりWSJT-Xに搭載されました。そのプロトコルはLDPC(低濃度パリティ・チェック・コード)とともに「Q-ary反復積算(repeat accumulation)」コードを使用しています。このQ-ary・・・は通信理論における最新の研究分野の一つであります。QRA64コードはJT65で使用されるRead Solomon(63,12)コードよりも本質的に優れており、1.3dBのアドバンテージを有します。QRA64はまた、7x7コスタス・アレー(Costas arrays)に基づく新しい同期スキームを使っており、最低トーン周波数に明るい同期信号を見ることができません。この変更でさらに1.9dBの利得を得ています。
 
 多くの点で我々のQRA64の搭載は技術的にJT65と同様でありました。QRA642トーンの省略メッセージを使用しませんし、コールサイン・データーベースも使用しません。むしろQSOが進行するにつれて、「既知」の情報を利用することでさらに感度を向上させています。例えば、レポートが交換中であるとき、以前の送信で既にコールサインが解読されているような場合です。QRA64は現在、メッセージ平均化を許容する機能はありませんが、追加することもできます。初期のテストで144MHzから10GHzまでの周波数帯で多くのQSOがサブモードであるQRA64A-Eを使用して行われました。さらに経験を積んでQRA64デコーダの改良を続けていきたいと考えています。
 
3. ISCATは基本的にWSJTの最新バージョンと同じになっています。このモードは微弱ではあるが、その振幅が少なくとも数秒以上安定した信号に有効です。10GHzにおける航空機散乱が良い例です。ISCATのメッセージはフリー・フォーマットであり1から28文字まで任意の長さが可能です。ただしこのプロトコルにはエラー訂正機能はありません。
 
プログラムのセットアップ
多くの新しい機能はSettings/Generalタブにある’Enable VHF/UHF/Micrwavefeatures’にチェックを入れることで作動します。MSK144モードでは「T/R 15 s」および「F Tol 100Hz」のセッティングを推奨します。ショート・メッセージを使用する場合は「Sh」を、自動シークエンスには「Auto Seq」をチェックして下さい。QRA64モードではTxおよびRx周波数を1000Hzにセットします(サブモードEでは600Hz)。