昨日アップしたGS1299ですが、いろいろといじってみました。

 

取扱説明書というよりもおそらく組み立て説明書が付属してきますが、中国語なので全く読めません。漢字を使う国なのにここまで意味が不明というのも困ったものです。

 

とにかく感度アップをしようと思い、回路図を見てみると、例によってアンテナからICに入るまでに同調回路があり、これがデータシートのアプリケーションダイヤグラム(日本語訳すると適用回路図というところかな)と比べて、数値が大きく異なっています。なんだか前にもこんなことがありました。

 

 

 

HEX3653の時は、たしか100μHと33pFでした。今回は47μHと22pFです。私の感覚でいうとVHFの周波数だと小さな空芯コイルを使うのが普通で、それだと少々巻き数が多くても数μH程度です。GS1299のデータシートに載っている回路図では100nHと24pFになっていました。100nHというのは、単位をそろえると0.1μHです。

 

計算してみると、47μHと22pFの共振周波数は4.498MHz です。これは短波ですね。100nHと24pFの共振周波数は102.734MHzです。FM放送の周波数だとこんな感じでしょうか。

 

データシートを見ないで回路を設計するなんてことはあり得ないと思うのですが、2つのキットが揃いも揃って大きなコイルにする理由が良くわかりません。なにか他の理由があるのかなと勘繰ってしまうほどです。

 

アンテナ同調回路に使う並列共振回路の役割は、希望する周波数以外を減衰させるためです。ですから全然違う周波数の同調回路を入れると感度が下がります。ゲルマラジオなどはこの同調回路のみで選局しているほどです。(同調回路が1段しかないので分離が悪い=混信する)このIC(GS1299)はデータシートを見ても内部の構造が載っていないので、どのように選局しているのかわかりませんが、アンテナの同調はある程度必要と考えているように思えるんですけどねえ。

 

というわけで、今回も錫メッキ線で空芯コイルを作りました。1番のプラスドライバーに0.6mmの錫メッキ線を5回巻いてみたら大きすぎたようなので、4回にして測定するとおおよその値が得られました。FM放送の周波数のコイルなんてこんなものが普通です。

 

 

これを47μHのインダクタを取り外した跡にはんだ付けし、ついでにアンテナ線の代わりに30cmほどの電線をはんだ付けしました。

 

 

この状態で電源を入れると、放送が入ります。入感した局は

80.4MHz FM北海道 Air-g(札幌)

82.5MHz FM NorthWave(札幌)

85.2MHz NHK-FM(札幌)

91.5MHz HBC FM補完放送(札幌)

です。90.4MHzのSTVラジオ(FM補完放送 札幌)も入感するかと思ったのですが、電界強度が低く(電波が弱く)入感しませんでした。

 

それと、電源を切って、すぐに入れ直しても何も入感しません。どうも仕様のようで、サーチスイッチを押してもダメでした。電源のコンデンサに蓄えられた電圧が一定以上低くならないと再起動しないみたいです。ですから、電源を入れ直すたびに選局が必要になります。

 

小さなスピーカーは結構大きな音が出るのですが、机の上に置いておくだけだと共振してしまってビビります。やっぱり何かに固定しないとだめです。表示が出ない、電源を入れるたびに選局する必要があるなど、実用にするには難しいキットですが、原点に返っていろいろと遊ぶのにはよいかもしれません。GS1299ってデータシートを見ても周波数表示が出るようになっていないので、どうやっても周波数が出ないと思うのですが、非実用的なこのICを設計した意図は何なんだろうと考えてしまいました。