冬になって、外に出るのがおっくうになると無性に何かを作りたくなります。なんなんでしょうね。

 

今回は、年末に受け取ったFMラジオキットを作ります。この手の簡単なキットですが、孫の学校が始まらないと落ち着いて作業ができません。なんとかあるあるですね。

 

これは例によってAliexpressから購入しました。価格は送料込みで278円です。毎回思うのですが、この価格では送料にもならないのにどうなっているのでしょうか。ただ、懸念材料としては、アリババの会長のジャック・マー氏が退任するということで、このまま同様の経営になるのかということです。もしかしたら、今のような中国のサイトではなく、インドなどの他の外国のサイトが台頭してくるのかもしれません。私にとってはどうでもよいことですけどね。

 

さて、これも例によってキットの中には回路図もなければ部品表もありませんので、ネットの海の中を浚ってきました。余談ですが、回路図のICはRD5807FP、部品表にはRDA5807PFとなっています。こんなところは間違えないでほしいですね。

 

私が習ったストレート受信機の回路というのは同調回路-検波回路-増幅回路という流れになっていて、同調回路はコイルとコンデンサが主役であり、検波回路は半導体(主にダイオード)という時代が長く続きました。しかし、この回路図を見ても、それらしい同調回路はありません。コイルが3つ使われていますが、どれも抵抗器のようなリード線が付いたアキシャルタイプと言われるものです。ラジオと言えば空芯だったり、フェライトバーが入ったQが大きなものという先入観が、もう過去のものなのでしょうね。

 

とはいえ、このままでは何が何だかわからないのを組み立てても面白くないので、せめて中心となるIC RDA5807FPのデータシートを探しました。RDA5807Mというのはすぐに見つかりましたが、足の数が違います。しばらく探してようやく見つけました。

 

https://www.rlocman.ru/datasheet/img.php?di=173683

 

このデータシートの17ページの回路図を見ると0.1mHと24pFで同調回路を構成しています。私の計算に間違いなければ103MHzほどで同調します。ICの内部が良くわかっていないので、この周波数をどうにかして同調しているのでしょう。内部はデジタル回路になっていますから、完全に私たちアマチュアには手が出せなくなっています。

 

さて、製作に入ります。難しいのはIC RDA5807FPのハンダ付けくらいです。例によって部品押さえを使って1番ピンと9番ピンをはんだ付けし、その後、全ての端子をはんだ付けしていきます。

 

 

 

はんだ付け後、テスターの導通チェッカーを使って、確実に付いているか確かめます。なにせ、細かいところまで良く見えませんので、これが必ず必要です。

 

あとは、背の低い部品からサクサクとはんだ付けします。YouTubeなどで他人のハンダ付けを見ていると、ほとんどの部品を穴に差し込んでからはんだ付けしている人が多いのですが、私は1つの部品を差し込んだらはんだ付けし、足をカットしていくことを繰り返しています。全部差し込むとはんだごての先が足にぶつかってはんだ付けしにくいことが多いためでもあります。

 

 

全部部品を取り付けたら、電池ケースにタイラップを使って固定します。手元に単4電池が無かったので、実験用電源を3Vに設定し、つないでみました。アンテナはイヤホンのアース端子につながっています。

 

電源を入れるとイヤホンからザーッというホワイトノイズが聞こえてきます。どの周波数を受信しているのかわかりませんが、おそらく76MHzあたりなのでしょうか。データシートを見てもこのICが50MHzから115MHzまで使えることはわかりましたが、ハードウェア的に最低・最高周波数を制限していないようで、よくわかりませんでした。

 

音量を調節し、CH+のスイッチを軽く押すとスキャンして局が見つかると停止します。私の机の上ではややノイズが入って入感しましたが、これは特に感度が低いという訳でもなく、他のラジオもこんなものです。とはいえ、電源に線がつながっているので、窓辺まで動かすのは一苦労ですし、アンテナ線を外付けにもしにくいので、放送局に近いところで使うのに適したラジオと言えます。なお、当地の最低周波数の局(FM北海道 札幌 80.4MHz)から最高周波数局(北海道放送 札幌 91.5MHz)まで受信できました。

 

最後になりますが、このラジオの評価としては、

1. 価格が異常に安いということもあり、価格以上の価値があると思う。

2. とはいえ、ケースがないので普段使いしにくい。部品が引っかかってちぎれてしまいそうである。

3. 感度はそれなり。外部アンテナを使えないのでちょっと不便。

4. SMD ICのハンダ付けがあるので初心者向けとは言いにくい。(器用な中学生くらいなら作れるとは思います。)

と、言ったところでしょうか。私としては、のんびりと製作を楽しむことができ満足です。