この写真のCDをとある方に渡すのですが、
その方とは、
よくJAZZのLIVEを聴きに行きました。
ご退職されてから、
一緒にNYのビレッジバンガードに
JAZZを感じに行く約束もしておりました。
ところが、
60歳になられる前に
その方は、お亡くなりになられました。
そうなんです、
その方は、もうこの世にいません。
では、
どうやって渡すのか?
話しを
その方が亡くなられる7年前に巻き戻します。
『タカハラ君、家の塗装して欲しいやけど、
いっぺん見積もりしてくれへんか?』
そう言われ、
見積もりに馳せ参じたわけですが、
結論から言うと、
その時塗り替える必要はなく、
5年先でも大丈夫でした。
僕は、
『5年先に塗り替えましょう!』
そう言って、
5年先に塗装する約束をして帰りました。
その後も
何度か一緒にJAZZを聴きに行きましたが、
何故か、
5年の歳月が経過しようとした頃から
喧嘩をした訳でもないのに会わなくなりました。
お互い忙しかったんだと思います。
それから2年、
見積もりに行ってから7年後のことです。
仕事は、ありえないほど忙しく、
その方との約束を忘れていました。
熱い夏の日、
その方の家の近くを通り過ぎようとした時、
どこからともなく、
『タカハラ君、早よ塗ってよ!』
という声が聞こえてきました。
それは、
明らかにその方の声でしたが、
ただの空耳にしか思えませんでした。
僕は、
その時、約束を思い出し、
とにかく早く会いに行こうと思いました。
しかし何故、
そんな声が聞こえたんだろう?
そう思いながらも、
あまりにも忙しくて会いに行けません。
その2日後、
その方の家の近くを通り過ぎようとした時、
『タカハラ君、いつ塗ってくれるん?』
また、その方の声が聞こえてきました。
これで二度目です。
そんな声が聞こえたのは、、、
僕は、数日後の日曜日に行くことにしました。
その翌日、
三度その方の家の近くを通り過ぎようとした時、
『タカハラ君、頼むで、きれいに塗ってよ!』
またまた、その方の声が聞こえてきました。
これで三度目です。
もうたまたまではありませんし、
そう感じただけでもありません。
その翌日、
その方の家の近くを通り過ぎようとした時、
何も聞こえてはきませんでした。
そのまま事務所に帰りました。
ファクシミリが一枚届いていました。
それは、
その方の訃報でした。
翌日、その方の通夜に行きました。
頭の中で、
コルトレーンのサックスの音が
狂ったように鳴り響いているようでした。
なんとも言えない気持ちでした。
亡くなられてからすぐに
初盆がやってきます。
お盆迄に渡したかった物があります。
僕は、その方の家に
オスカー ピーターソンの
アルバムを持っていきました。
その方の奥様とも顔見知りです。
奥様に挨拶をし、
仏壇でお線香をあげ、
とても話しにくい話でしたが、
亡くなられる数日前からの出来事を伝えました。
すると、
奥様は涙目で、
『確かに、営業マンがやってきて、塗装の見積も
りをして帰りましたが、この家は、タカハラ君
に塗ってもらう。僕から連絡しとくわ。そう言
った数日後に主人は倒れて入院しました。』
それは、不思議な話しですが、
僕がその方の家の近くを通り、
初めて、その方の声を聞いた日と重なりました。
涙がこぼれそうになりました。
奥様がそう言われた直後、
床材でしょうか、
家の中のどこかで、
突然、木が音を立てていました。
僕には、
ピーターソンのピアノの音色に合わせて、
その方が足でリズムをとっている音に
聞こえてなりませんでした。
あるいは、
その方は、まだJAZZを聴けるんじゃないか?
その時、僕は
そう思いました。
それから毎年、
その方の家に行き、
仏壇でお線香をあげ、CDをお供えする度に
家の中のどこかで、
『パキッ、、、』って、
音が聞こえてきます。
そうやって僕は、
この世にはいないその方にCDを届けています。
5年ほどは、
忙しくてもなんとかお盆前に行けましたが、
昨年は、
個人的な事情で渡すことができませんでした。
だからこそ、
今年は、どんな事情があろうとも渡したい。
またその方が
リズムを取る音を聴きたいから、、、






















