長中波帯の免許では、

等価等方放射電力(EIRP)が1W以下に規定されています。

昨年11月の父島の運用では、136K帯でEIRP=494mWでした。

これを1Wに近づけるには、次の3点が考えられます。

            ① 送信電力の増大

            ② アンテナの巨大化・・・特に垂直高

            ③ 接地抵抗(ラジアル抵抗)の低減

      この内、①は、規定の最大値200Wで運用しているので、増力不可。

          ②は、現地の環境では難しい。

                         例えば、垂直高を2倍にするとEIRPは4倍に

             なりますが、現状ではほとんど不可能。  

          ③が、最も実現可能な要素で、次回の父島運用では、

             ラジアル抵抗の低減を目標にしています。

             (現在の23Ωを半分に)

 

こういう状況の中、現状のアンテナでの改善が出来ないか、

考えていました。

一つのアイディアが浮かびました。

それは、水平エレメントに延長コイルを挿入する、という方法です。

現在は、垂直エレメントと送信機の間に延長コイルを使っていますが、

この延長コイルを水平エレメントにも使うと、

EIRPの増大の可能性があるのではないか・・・。

以下に、書き込みます。

 

 

なお、EIRPは、計算で求めるだけで、測定器は存在しません。

総通への免許(変更)申請の場合には、

所定の計算によって1W以下であることを記載しています。

 

 

 

父島で現用のアンテナから紹介します。

10m長の釣り竿(グラスファイバー製)を使って展開しています。

垂直エレメントが無線シャック内に入り、

アンテナエレメントの静電容量と延長コイルを

136K帯に共振させています。

共振した時のアンテナ入力抵抗RIN=34Ωで、

これを50Ωに整合(ステップアップ)して送信機に接続しています。

 

 

 

 

 

現用の延長コイル

2個のコイルを結合して2700μHを得ています。

タップで調整しています。

このコイルは、直径22cmの塩ビ管にリッツ線を巻いています。

紙を巻いて、線材を保護しています。

この他にL2(2800μH)がありますが、

アンテナが短い場合に併用します。

 

 

 

 

 

まず初めに、現用の延長コイルの効果を確認しました。

現用のエレメントの全長は65+10=75mなので、

あと475m長ければ、136K帯1/4λの550mとなります。

よって、2700μHの延長コイルの働きで475mの延長が行われ、

電気的に全長550mとなって、送信機に整合していると考えました。

延長率という聞いたことのない言葉が浮かびました。

1μHにつき17.6cmの(電気的な)延長が行われます。

 

 

 

 

 

次に、エレメントと電波放射の関係は、

    ① 水平エレメントからは電波放射しない。コンデンサーCとして働く。

    ② 電波の放射は垂直エレメントから。

という事から、垂直エレメント10m部分の放射を考えます。

全体が1/4λなので、正弦波の1/4を描くべきですが、

三角形で代替し、直線としました。

この三角形について、10m部分の面積S1が

放射エネルギーに相当する、と考えます。

10m部分の面積S1の大きさは、1.27ですが、単位は考えません。

大きなのみを意識します。

 

 

 

 

本題に近づきます。

浮かんだアイディアは、

水平エレメントにも延長コイルを使ったらどうなるか?

です。

水平エレメントが(電気的に)延長されると、

前図のS1が右方向へ押しやられ、面積が増大する。

これにより放射エレルギーが増大するのではないか? と。

水平エレメントの延長コイルをL1とし、

   垂直エレメントの延長コイルをL2として、解析してみます。

 

具体的に計算するため、L1用のコイルを製作しました。

垂直エレメントの上方に置くので、小型・軽量、防水などの条件が必要ですが、

708μHのコイルとなりました。

 

水平エレメントの延長コイル L1

 

 

 

 

先述の延長率を使うと、このL1による延長の長さは125mとなります。

当初、S1は水平エレメント先端から65mの位置にありましたが、

L1の延長作用によって、

125mだけ送信機方向に移動し、下図のS2になります。

S2は、S1より大きいです。

 

 

 

 

S2を計算し、S1と比較しました。

水平エレメントに延長コイルを置き、

垂直エレメントの延長コイルと共用すると、

垂直エレメント上のエネルギー面積が大きくなることが示されました。

 

 

 

 

実際のアンテナのイメージは下図7です。

垂直部の釣り竿(10m)の頂部にL1を置き、

L1から垂直エレメントを下ろして室内へ入り、

L2を経由して送信機という接続になります。

L2の所要インダクタンスを第2図の延長率を用いて計算します。

350mの延長となるには、L2=1989μHが必要となりますが、

これはシャック内でSWR=1.0になるように(微)調整します。

 

 

 

 

垂直部の釣り竿  2022.11

釣り竿2本を束ねて強くしています。

11月なので、木々の葉が多いです。

これらはEIRPを吸収する一因ですが、2月になれば見通しが良くなります。

地面も見えて来ます。

 

 

 

 

どうなるか、まずは、やってみよう !!ですが、

L1もL2もアンテナエレメントの静電容量Cとの間で、

136K帯に共振する必要があるので、これを机上で確認します。

Lが1個、Cが1個の共振回路は何度もやっていますが、

C-L-C-L はやったことはありません。