土砂崩れの現場に集まる人たち

 

 

”今年最悪の自然災害となる可能性も”

 

 同国最悪の自然災害

5月24日、パプアニューギニアで同国史上で最大級となる土砂崩れ災害が発生しました。

 

当初は、以下にありますように、「300人以上が死亡した恐れがある」と地元の議員が述べていました。

 

パプアニューギニアで土砂崩れにより300人以上が死亡したと地元議員が述べる。詳細は不明
 地球の記録 2024年5月25日

 

その後、国連の機関が「死者は 670人以上」と推定していることを発表しています

パプアニューギニア政府からの公式な推定死者機数の発表は当初はなかったのですが、5月26日に政府は、

 

「 2,000人以上が生き埋めになったとみられる」

 

という驚くべき数字を発表しました。

 

土砂崩れが起きたエンガ州

 

この政府発表が実際の数値と近いとした場合、土砂崩れ災害としては、とんでもない規模の災害というとになりますが、しかし結局これも政府の推定値であり、わからないことが多すぎるようです。

 

災害の人的被害の規模をわかりにくくさせているのは、以下のような点にあると報じられています。

 

 

・現地の地盤の状況がいまだに不安定で十分な救出作業ができていない

 

・道路の破壊などで重機などの搬送がままならない

 

・通信手段がない(パプアニューギニアは都市部以外のインターネット接続はほぼない)

 

・部族紛争が続いている複雑な状況がある

 

・同国では国勢調査が長く実施されておらず、それぞれの村の人口そのものがよくわからない

 

 

このようなことで、災害の規模の実体が明らかになるのは、なかなか難しいことのようです。

 

いずれにしても、今年の地球で、これまで起きた自然災害の中で最大の人的被害を伴う災害であることは間違いないようです。

 

AP通信の報道です。

 

 


【パプアニューギニア当局は、5月24日の土砂崩れで 2,000人以上が生き埋めになったと発表し、正式に救援を要請】

Papua New Guinea says Friday’s landslide buried more than 2,000 people and formally asks for help
AP 2024/05/28

 

 

パプアニューギニア政府当局者は国連に対し、先週金曜日の土砂崩れで 2,000人以上が生き埋めになったとみられると述べ、正式に国際援助を要請した。

 

この政府の数字は、南太平洋の島国である同国の山岳地帯の内陸部で起きた土砂崩れによる死者 670人とする国連の推定のおよそ 3倍だ。

 

地元当局の発表によると、27日までに収容された遺体はわずかに 5人だった。前日に報告された 6人という数字がなぜ下方修正されたのかは明らかではない。

 

AP 通信が閲覧した 27日付けの国連常駐調整官宛書簡の中で、同国の国立災害センターのルセタ・ラソ・マナ所長代行は、この土砂崩れにより「 2,000人以上が生き埋めになり」、エンガ州ヤンバリ村で「甚大な被害」が発生したと述べた。

 

この災害の発生以来、犠牲者の推定数は大きく変動しており、当局がどのようにして被災者の数を算出したのかはすぐには明らかになっていない。

 

パプアニューギニア政府と緊密に連携し、国際的な対応で主導的な役割を果たしている国際移住機関は、新たな証拠が出るまで、26日に発表した 670人という推定死者数を変更しないとしている。

 

「政府の提案に異議を唱えることはできないが、コメントすることもできない」と国連移民機関のパプアニューギニア派遣団長セルハン・アクトプラク氏は述べた。

 

「このような大規模な取り組みでは時間が経つにつれて、その数は流動的になるだろう」とアクトプラク氏は付け加えた。

 

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は犠牲者の家族とパプアニューギニアの国民および政府に「心からの哀悼の意」を伝え、国連とそのパートナーは同国の対応努力を支援していると述べた。

 

また「国連はこの困難な時期にさらなる支援を提供する用意がある」と国連報道官のステファーヌ・デュジャリック氏は 27日に述べた。

 

670人という国連による死者数は、ヤンバリ村とエンガ州当局の計算に基づき、土砂崩れで 150軒以上の家屋が埋もれたとしての推定値だ。以前の推定では 60軒だった。

 

パプアニューギニアのジェームズ・マラペ首相の事務所は 27日、政府が推定した 2,000人という数字が何に基づいているのか説明を求める要請には応じなかった。マラペ首相は、被害の規模と人命損失に関する情報が入手でき次第公表すると約束した。

 

被災地が遠隔地にあること、通信手段がないこと、州全体で部族間の抗争が続いていることなど、現地の厳しい状況のため、災害の規模を判断するのは困難であり、国際的な救援活動員や救援物資の輸送には軍の護衛が必要となっている。

 

2月にエンガ州で対立する 2つの部族間の戦闘で、少なくとも 26人の部族戦士と傭兵が死亡し、さらに数は確認されていない同地の人々も死亡している。

 

同国政府には信頼できる国勢調査データがないため、死亡者数がどれくらいいる可能性があるかを判断するのがさらに困難になっている。

 

パプアニューギニア政府は同国の人口を約 1000万人と推定しているが、衛星写真などのデータに基づく国連の調査では、2022年には 1700万人に達している可能性があると推定されている。同国では数十年にわたって正確な国勢調査は実施されていない。

 

この土砂崩れにより、州内の主要幹線道路の 200メートルが 6~ 8メートルの深さの瓦礫の下に埋もれ、救援活動に多大な障害となっている。

 

国立災害センターのマナ所長代行は、この土砂崩れは国全体に大きな経済的影響を及ぼすだろうと述べた。

 

地元の建設業者が 27日に寄付した掘削機は、遺体を見つけるためにシャベルや農具を使って掘削作業を続けている村人たちを助けるために持ち込まれた最初の重機となった。しかし、まだ地盤が動き続けている瓦礫の周りで作業をするのは危険を伴う状態だ。

 

マナ所長代行は国連に宛てた書簡で、「地盤変動により状況は依然として不安定で、救助隊と生存者双方に引き続き危険をもたらしている」と述べた。

 

マナ所長代行とパプアニューギニアのビリー・ジョセフ国防相は 27日、オーストラリア軍のヘリコプターで首都ポートモレスビーから北西 600キロのヤンバリに飛び、何が必要かを直接視察した。

 

マナ所長代行の事務所は、ヤンバリで、避難民 4000人のための緊急物資購入のため、50万キナ(約 2000万円)の小切手を地元当局者に手渡している同氏の写真を投稿した。

 

この訪問の目的は、パプアニューギニア政府がさらなる国際支援を公式に要請する必要があるかどうかを判断することだった。

 

パプアニューギニア軍が使用する土木機械が、東海岸の都市ラエから 400キロ離れた災害現場へ輸送されている。

 

当局者たちによると、トラウマを負った村人たちが、生き埋めとなった親族の遺体を重機で掘り起こすことで、さらに損傷を与える可能性があるかどうかで意見が分かれているという。