2011年に徴兵制が廃止される以前の徴兵されたドイツの新兵。 atlanticcouncil.org

 

 

 ヨーロッパ全体が次第に戦時体制に

 

ドイツをはじめとするヨーロッパの各国で、「ロシアとの戦争」を明確に意識している状態が続いています。

 

たとえば、今年はじめ「ドイツ国防省によるロシアの攻撃の想定を記した機密文書」が、ドイツ最大の新聞により明かされています。以下の記事にあります。

 

ドイツ国防省の秘密文書は「第三次世界大戦は2024年から始まる」と明確に述べる。まずはロシア対ドイツ
 In Deep 2024年1月16日

 

このタイトルにありますように、ドイツ国防省は、第三次世界大戦は 2024年から始まると明記しているのですが、まあ、時期の多少のズレはあったとしても、そのあたりにヨーロッパ全体を巻き込んだ大きな戦争が始まることをドイツ国防省は想定しているようです。

 

そういうことも含めて、曖昧ではなく戦争に対して準備を進めているという状態のようですが、英国テレグラフが、

 

「ドイツが 18歳全員の徴兵制を再導入しようとしている」

 

と報じていました。男性も女性もです。

 

現在検討されている選択肢は、3つあるようで、そのうちのひとつが、この「 18歳全員を徴兵」というプランです。

 

これについては、他のオプションについて最近報じられていまして、それは、「徴兵されるか、1年間の社会奉仕活動かのどちらかを選ぶ」というもので、これについて、ヨーロッパの「ユーロヴィジョン」というメディアが、

 

「ドイツが奴隷制を再導入へ」

 

という、やや衝撃的なタイトルで報じていました

 

ヨーロッパにおいては、徴兵制がどんどんと復活、あるいは強化されていまして、スウェーデンも完全な徴兵制度の再開へ動いており、デンマークでは女性の徴兵が開始されることになり、イギリスでも、戦争が始まれば、徴兵が必要となると陸軍参謀総長が発言していまして、徴兵制の再導入がヨーロッパ全体に拡大しています。

 

その大きな理由のひとつに、戦争が近いということがあると同時に、ヨーロッパのどの国も、高齢化により若い現役の軍人の数が少なくなっているということもあります。

 

ドイツの徴兵制度の再開に関してのテレグラフの記事をご紹介します。

 

 


【ドイツ、18歳全員に徴兵制導入の可能性】

Germany may introduce conscription for all 18-year-olds
Telegraph 2024/05/11

 

軍の数を増やすために男性と女性の両方が召集される可能性がある

 


ピストリウス国防大臣は、ドイツは徴兵制を再導入する必要があるとの信念を表明した。

 

ドイツはロシアの軍事侵略に直面する中で兵員数を増やすため、18歳全員を対象とした徴兵制の導入を検討している。

 

ドイツのメディアが報じた流出した政府の計画によると、政府の軍事計画立案者たちは 3つの選択肢を議論する最終段階に入っており、そのうち 2つは徴兵を伴うものだという。

 

ボリス・ピストリウス国防大臣は、6月までに正式な計画を公表する予定だ。

 

議論されている選択肢の一つでは、ドイツは 2011年に停止された 18歳になった若者に対する兵役義務を復活させ、女性にも適用するというものだ。これにはドイツ憲法の変更が必要だが、同省内では社会の承認が得られる可能性が最も高いとみられている

 

別のオプションは 18歳の男性にのみ適用されるが、全員が選択されるわけではないというものだ。ディー・ヴェルト紙がスクープした詳細によると、彼らはオンラインフォームに記入する必要があり、その後、兵役を受けるために選ばれる可能性があるというものだ。

 

3番目のオプションは、強制的な勤務を回避し、代わりに、より積極的な採用キャンペーンに取り組むことで現在のシステムを「最適化」することに重点を置くものだ。

 

しかし、ピストリアス氏はその路線に反対しているとみられている。今週ワシントンを訪問した際、同氏は「ドイツには一種の徴兵制が必要であると確信している」と語った。

 

世論調査では定期的に同国で最も人気のある政治家であることが示されているピストリウス氏は、以前、徴兵制停止の決定を「間違い」だったと述べている。

 

ドイツの高齢化により、退役に向かう兵士の数が彼らの代わりに加わる新兵の数を上回っていることから、若者の徴兵の再導入の可能性が浮上している。

 

一方、ドイツ政府は、軍の規模を現在の約 18万人から 20万人以上に増強する目標も設定している。

 

国防省は、徴兵なしでこの目標を達成できるかどうかには懐疑的だと考えられている。

 

 

政府内の反対派

 

しかし、ピストリウス氏はドイツ政府内部から彼の計画に対してかなりの抵抗に直面する可能性が高い。

 

ドイツのオラフ・ショルツ首相は以前、このような動きに反対を表明しており、ジュニア連立パートナーである自由民主党と緑の党の閣僚も反対すると表明している。

 

それにもかかわらず、徴兵制を再導入する機運は高まっている。

 

ドイツの主要野党である中道右派のキリスト教民主党は今週の党大会で、「段階的なプロセスでの徴兵制再導入」を支持する動議に賛成票を投じ、立場を転換した。

 

ピストリウス氏は「キリスト教民主党が、私が取り組んできた道と同じ道を進んでいることを嬉しく思う」と述べ、党派を越えて取り組む姿勢を示唆している。

 

 

 

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