”製薬企業から2兆円近くの支払いを受けていたことが、連邦政府のデータベース解析により判明”

 

 これでは薬剤に医師から批判の声が上がるわけもない…

 

アメリカの医師たちが、製薬企業や医療製品企業から、どの程度の「支払い」を受けていたかということについて、米国政府の「オープン・ペイメンツ(Open Payments)」というデータベースを詳細に分析した論文が発表されていました。

 

調査したのも、またアメリカの医師たちです。

 

その結果、まあ、それほど驚くようなことではないのかもしれませんが、2013年から 2022年までに、

 

「 82万300人以上(米国の医師の 57%)以上の医師たちに 8,500万件以上の支払いがされていた」

 

ことが判明したというものです。

 

米国医師会雑誌 JAMA に掲載された論文はこちらにあります。

 

医師に支払われた総額は10年間で 120億ドル(約 1兆8000億円)にのぼり、大変な金額が製薬企業などから医師たちへ渡り続けていたようです。

 

こういう条件下ですと、いろいろな面で製薬企業の希望はすんなりと医療界に通っていくということもあるのかと思います。

 

今後も、コロナワクチンのような新しいタイプのワクチンも次々と登場してくると思われますが、それらについても、「抵抗なく」医療で使われていきそうです。

 

日本の医師たちの状況は知らないですが……どうなんでしょうね(やや苦笑)

 

この論文の内容を詳細に伝えていた、英エポックタイムズの記事です。

 

 

【米国の医師が製薬・医療機器業界から数十億ドル以上を受け取っていることを示す新たな研究】

US Physicians Received Billions From Pharmaceutical and Medical Device Industry, New Research Finds
Epoch Times 2024/04/01

 

利益相反の可能性があるにもかかわらず、対象となる医師の半数以上が医薬品または医療機器メーカーから 10年間にわたって支払いを受けていた。

 

 

新しい分析によると、米国の医師たちは10年間で製薬・医療機器業界から 120億ドル(約 1兆8000億円)以上の支払いを受けていた

 

3月28日に米国医師会雑誌 JAMA に掲載された調査書簡によると、米国の医療業界は 2013年から 2022年までに、39の専門分野の対象となる 82万300人以上(57%)以上の医師たちに 8,500万件以上の支払いを行っていた

 

支払い額のほぼ 94%は、 1つ以上の市販の医療製品に関連するものだった。

 

医師と業界の間の金銭的関係が医療の意思決定とコストに不当な影響を与えているという懸念から、2013年に設立されたアメリカ連邦政府の透明性プログラムであるオープン・ペイメンツ(Open Payments)というデータベースが存在するが、研究者たちは、このオープン・ペイメンツのデータベースを調査し、さまざまな専門分野でどのような支払いが行われたのか、また最大の支払い総額に関連する医療製品を特定した。

 

データには、コンサルティング、非コンサルティング(講演料や講師料など)、旅行、食事、娯楽、教育、贈答品、補助金、慈善寄付金、謝礼として受け取った支払いが含まれていた。

 

分析の結果、支払額は専門分野間および同じ専門分野の医師間で大きく異なることが判明した。

 

たとえば、上位 0.1%の医師に支払われた平均額は、病院医の 19万 4,933ドル(約 3000万円)から整形外科医の 480万ドル(約 7億2000万円)までの範囲だったが、医師個人への支払額の中央値は 0ドルから 2,339ドル(約36万円)の範囲だった。

 

支払額が最も多かったのは整形外科医たちで 14億ドル(約 2100億円)、次いで神経内科医と精神科医たちが 13億ドル、心臓内科医たちが 13億ドル、血液内科医・腫瘍内科医が 8億2,580万ドルとなった。

 

小児科医の約 55%と感染症医師の 63%が業界から支払いを受けていたが、予防医学を実践する医師たちは最も少ない金額しか受け取っていなかった。

 

ハンツマン癌研究所の腫瘍学者、血液学者であるマニ・モヒュディン博士は以下のように語った。

 

「 2013年から 2022年にかけて、製薬会社は米国の医師に 120億ドルを支払いました。それは気が遠くなるようなことであり、非常識なことです。そうやって沈黙が買われ、医師たちの心が影響を受け、最終的には患者のケアや処方パターンに影響を与えるのです」

 

モヒュディン博士は、受け取った平均報酬は低かったが、一部の医師は多額の報酬を受け取り、ガイドラインの作成、委員会の議長、臨床試験などに影響力を持ち、意見への影響力も強く持っていたと強調した。

 

 

支払いに関連する主な医薬品と機器

 

最も多くの支払いに関連した医薬品のトップ 3 は、イグザレルト (1億 7,630 万ドル / 約 250億円)、エリキュース (1 億 260 万ドル)、および ヒュミラ (1 億 200 万ドル) だった。

 

(※ 訳者注)ここに出てくるのはすべて薬剤で、イグザレルトは、経口抗凝固薬。エリキュースは、静脈血栓塞栓症の治療と再発予防の薬、ヒュミラは、遺伝子組換えによって作られたモノクローナル抗体製剤です。この 3つは、すべて日本でも処方されている薬です。

 

イグザレルトは、ジョンソン・エンド・ジョンソンのヤンセンファーマとバイエルが共同開発したもので、血栓の予防と治療に使用される。

 

ヤンセンはジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチンも開発したが、これはまれに致命的な血液凝固障害を引き起こした。

 

エリキュースは、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とファイザー社が製造する数十億ドル規模の抗凝血剤だ。 2023年のこの薬はファイザーの総収益の 12%を占め、これはファイザーの新型コロナワクチン「コミナティ」に次ぐ総収益での第 2位の薬だった

 

ヒュミラは、関節炎、尋常性乾癬、強直性脊椎炎、クローン病、および潰瘍性大腸炎を治療するためにアッヴィ社によって製造された免疫抑制薬だ。この上位 3の薬剤に続くのは、2型糖尿病治療薬のインボカナ、ジャディアンス、フォシーガだ。

 

分析によると、最も多くの支払いに関連した医療機器は、ダビンチ・サージカルシステムが 3億750万ドル、マコ・スマートロボティクス が 5,010万ドル、コアバブル Evolut が 4,480 万ドルだった。(※) どれも手術や治療ををサポートする装置やマシンのようです。

 

 

「儲かる手続きに重点を置いている」

 

論文の共著者で心臓電気生理学者のジョン・マンドロラ博士はサブスタックへの投稿で以下のように書いた。

 

「私たちのこの論文は控えめな分析です。財務上の利益相反の問題は説明されていません。しかし、これらは大金です。そして、それは儲かる分野(※ 儲かる医薬品や医療機器)を非常にターゲットにしています」

 

マンドロラ博士は、「疑わしいエビデンス」にもかかわらず、アメリカ食品医薬品局が多数の医療機器を承認していることから、業界の強い影響力が見て取れると考えている。

 

「心臓病学は専門分野です。私たちはデバイスを使用します。イノベーションにはある程度の協力が必要です。イノベーションにより心臓病学は改善されました。しかし、業界の影響力が強すぎます」とマンドロラ博士は言う。

 

業界は利益重視であり、医師への直接支払いが機能しない場合、業界はそれに何十億ドルも費やすことはないだろう、と博士は付け加えた。(※ 医師たちへの支払いが自らの企業の利益につながるから、医師たちに支払いを行っている、という意味だと思います)

 

 

支払いにより利益相反が生じる可能性がある

 

共著者で心臓専門医のアンドリュー・フォイ博士は、この分析は医師と業界の間に強い関係があることを示しているが、この関係を示す指標は他にもあると語った。

 

たとえば、業界の広告が主要な医学雑誌のホームページに掲載されたり、医学会議や会議で医師に業界の広告が浴びせかけられることは珍しくない。

 

フォイ博士は以下のように述べる。

 

「カンファレンスでこれを経験すると、これらのイベントでは産業界が歓迎されているだけでなく、イベントが産業界とその関与を中心に構築されていると感じます」

 

「これらの関係を隠そうとする試みはまったくありません。主な理由は、多くの医師、おそらく大多数が、医師と業界の協力は患者と社会にとって純利益であると信じているからです」

 

フォイ博士は、医師たちと業界の支払いに直接関係する利益相反が、たとえ十分にテストされていなかったり、エビデンスが不十分であったとしても、医療機関から新製品の使用を過度に熱心に推奨したりガイドラインを出したりする可能性があることを懸念していると述べた。

 

さらに、フォイ博士は、医師と業界への支払いの「大きな問題」は、それが「医師の同情を業界に傾ける可能性があること」だとし、業界で新たな医療(薬や機器)が出るたびに、医師たちがより積極的に新製品を採用するよう促すことだと述べた。

 

「私たちのこの論文でおこなったのは、その調査を衝撃的だと感じる人たちもいるかもしれないいくつかの数字を提供することでした。できれば、さまざまな人に、医師と業界の支払いや利益相反について話し合うことへの関心が新たに芽生え、そして、さらなる研究が促進されることを願っています」

 
 

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