朝鮮中央通信が報じた3月23日におこなわれたとされる水中無人核攻撃機のテスト。

 

 

”北朝鮮が「ロシアの終末核兵器ポセイドンと同タイプ」と見られる放射性津波を引き起こす新しい兵器の完成を発表”

 

 北朝鮮のポセイドン

 

ロシアとアメリカの間には「相互確証破壊」という概念があり、つまり核攻撃された場合、必ず自動で報復するというシステムが存在します。

 

 

> 相互確証破壊とは、核戦略に関する概念・理論・戦略である。核兵器を保有して対立する2か国のどちらか一方が、相手に対し先制的に核兵器を使用した場合、もう一方の国家は破壊を免れた核戦力によって確実に報復することを保証する。 (相互確証破壊

 

 

そのような報復核兵器の中で最も終末的と考えられているもののひとつが、ロシアの「ポセイドン」という核兵器です。

 

以下の記事などで取り上げています。

 

 

ロシアの終末核装置「ポセイドン」が配備された可能性の中で、初代アメリカ大統領の230年前のヴィジョンがふと浮かぶ
 In Deep 2022年10月8日

 

 

4年前にはすでに、脅威として報じられていました。

 

 

ロシアが構築した「世界終末核装置」。ポセイドンという名のその報復兵器の破壊力は、広島に落とされた原爆の5000倍…
 In Deep 2019年2月13日

 

 

これは水中で爆発させることに特化した核兵器で、 2019年の海外の報道には以下のようにあります。

 

 

2019年2月11日のビジネスインサイダーより

 

ポセイドンは、これまでに爆発した最大の核爆弾と同じぐらい強力な弾頭を数多く搭載していると言われる。さらに、ポセイドンは、海中と直接に接触するように設計されており、それは、あらゆる海洋生物や海底とダイレクトに繋がることになる。

 

そして、爆発の際に発生する「放射性津波」により、致命的な放射線を何十万キロメートルもの陸地と海に広げ、海や土地を何十年もの間、人や生物が住むことができなくする。

 

簡単にいえば、現行の通常の核兵器は、さまざまな都市ひとつを荒廃させる兵器だが、ロシアのポセイドンは、「大陸と海洋単位で終末をもたらす」装置といえるのだ。 (businessinsider

 

 

このポセイドンが作動したときの津波の高さは「 500メートル」と言われています。

もちろん 500メートルの高さの津波自体が壊滅的ですが、

 

「その津波のすべてが放射性となっている」

 

ということで、放射能の津波が海域と沿岸地域全体を襲うことになるようです。

 

さて、先日、

 

「北朝鮮が、同様の水中兵器を完成させた」

 

と発表していました。

 

冒頭の写真は、真偽はわからないですが、その兵器テストの様子だと、北朝鮮の朝鮮中央通信は報じています。

 

西側の軍事筋は、この発表に懐疑的ですが、ただ「北朝鮮は、核兵器の開発能力を持っている」という厳然たる事実がある上では、ロシアのポセイドンほどの威力のものに到達することは無理でも、「同じように作動する兵器」なら設計・作成することは不可能ではないと思われます。

 

しかし、これは韓国と米国相手の威嚇として喧伝されたものですけれど、こんなものが「日本海周辺の海域で作動したら」日本も影響を受けないという道理はないはずです。

 

 

日本と韓国と北朝鮮の位置関係と推定テスト海域

Google Map

 

 

AP通信の報道をご紹介します。

 

 

【北朝鮮が、海上での「放射性津波」兵器実験を主張】

North Korea claims ‘radioactive tsunami’ weapon test at sea
AP 2023/03/24

 

 

 

北朝鮮は 3月24日、敵の海軍と港を破壊する巨大な「放射性津波」を生​​成するように設計された核対応の水中ドローンをテストしたと主張した。軍事アナリストは、この装置が大きな新たな脅威をもたらすことに懐疑的だが、この実験は、核の脅威を高めるという北朝鮮のコミットメントを強調している。

 

このテストは、伝えられるところによると、米国が空母艦隊やその他の高度な兵力を朝鮮半島沖に展開することを計画していたときに行われた。北朝鮮と米国の軍事的緊張は、北朝鮮の兵器実験と米韓合同軍事演習の両方のペースが過去 1年間加速しているため、現在、最高点にある。

 

北朝鮮の公式報道媒体である朝鮮中央通信は、海岸から展開するか、水上艦船で牽引できるこの新しい兵器は、敵の海軍を破壊するために「作戦海域に密かに侵入し、水中爆発を通じて超大規模な放射性津波を発生させる」ように構築されていると述べた。

 

この報告は、韓国のユン・ソクヨル大統領が、過去数年間に西側の海の国境近くで北朝鮮との大規模な衝突で殺害された 55人の韓国軍を追悼する式典に出席したときに、北朝鮮にその「無謀な挑発」の代償を払わせることを約束する数時間前に出された。

 

いわゆる「核水中攻撃無人機」のテストは、3月24日の巡航ミサイル発射を含む、不特定の韓国の標的への核攻撃をシミュレートする 3日間の演習の一部だった。

 

朝鮮中央通信は、北朝鮮の最新の実験は、米国と韓国が「意図的、持続的、挑発的な戦争訓練」を続ける中で、「核危機」が進行していることを米国と韓国に警告することを目的としていると述べた。

 

米国と韓国は 3月23日に、ここ数年で最大の野外訓練を含む 11日間の演習を完了し、伝えられるところによると米国の空母が関与する合同海軍演習の別のラウンドを準備している。

 

北朝鮮の報告の数時間後、韓国空軍は、韓国西海岸沖の水域で行われた米国との 5日間の空対地兵器による共同空中訓練の詳細を発表した。

 

この北朝鮮の水中無人機は「ヘイル (해일)」と名付けられたことが報じられているが、これは津波や大波を意味する韓国語だ。

 

北朝鮮労働新聞は、正体不明の屋内施設で大きな魚雷型の物体の隣で金委員長が微笑んでいる写真を掲載したが、それを特定することはできなかった。

 

同じ記事で公開された他の写真は、無人機の水中軌道と空中に爆発する水の柱によって引き起こされたと思われる海面の軌跡を示していた。 

 

朝鮮中央通信は、無人機が 3月22日に北朝鮮の東海岸沖に配備され、60時間近く水中を移動し、敵の港に立っている標的に向けて試験弾頭を爆発させたと述べた。北朝鮮は、この兵器を 2012年から開発を続けており、過去 2年間で 50回以上テストを行ったが、この日まで国営メディアでこの水中兵器について言及されたことはなかった。

 

韓国ソウルにある北朝鮮研究大学のキム・ドンヨブ教授は、無人機の能力に関する北朝鮮の主張を検証することは不可能だと述べた。しかし、北朝鮮は、この兵器が韓国のすべての港に到達するのに十分な射程を持っていることを伝えようとしているという。

 

カーネギー国際平和基金の上級アナリストであるアンキット・パンダ氏は、兵器に適した核物質の量が限られている場合、北朝鮮が弾道ミサイルではなく、配送手段として無人機システムに資源を投入することの意味に疑問を投げかけた。

 

「これが北朝鮮の沿岸水域を越えて配備された場合、対潜戦能力に対して脆弱になります。また、港にいるときは先制攻撃の影響を受けやすいでしょう」とパンダ氏は述べた。

 

北朝鮮は数十発の核弾頭を保有していると考えられており、スカッドやノドンミサイルなどの古い兵器システムに搭載できる可能性がある。しかし、急速に開発された新しい兵器に適合するようにこれらの弾頭を設計する上で、どの程度進歩したかについては異なる評価があり、それにはさらなる技術のアップグレードと核実験が必要になる可能性がある。

 

韓国のイ・ジョンソプ国防相は、国会議員らに対し、北朝鮮はおそらく最先端の兵器に核兵器を搭載する技術をまだ習得していないと述べたが、その兵器開発が「大きな進歩」を遂げていることを認めた。