”米海洋大気庁が、アメリカ西部から中部の全土の60%近くが「7月まで雨がほぼ降らない極端な干ばつ」と予測。その一方で東部では春の洪水リスクが高いと発表”

 

ロシアやウクライナを始めとして、多くの国や地域が穀物や食糧油などの輸出禁止の措置をとりはじめている中で、今後の食糧危機の懸念が高くなっています。

 

今後、仮に、日本が多くの穀物を輸入しているアメリカやカナダ、あるいはオーストラリアの農作状況が「悪くなった場合」は、これまで食糧難とは無縁だった日本も、かなり厳しい状況に陥りかねないということを最近書きました。

 

前回の記事では、オーストラリアで「洪水」によって農作物に壊滅的な被害が出たことにふれました。

 

オーストラリアのニューサウスウェールズ州で、大洪水のために農作物全体に記録的な損失
投稿日:2022年3月19日

 

そうしましたら、 NOAA (アメリカ海洋大気庁)が、今年のアメリカの気候状況についての展望を発表していまして、

 

「アメリカ西部から中部では、6月が終わるまで、ほぼ雨が降らない」

 

という強力な干ばつ予測を出していました。

 

以下のマップの「茶色」の部分が、6月30日まで「干ばつ状況が悪化する」という予測が出された地域です。アメリカ西部から中部のほぼすべてとなっています。

 

 

2022年春のアメリカの干ばつ予測

NOAA

 

 

農作で 4月から 7月というのは、最も降雨が必要な時期だと思いますが、上の茶色の地域では、その時期に「ほぼ雨は降らない」と NOAA は予測しています。

 

その一方で、残りの地域では「洪水のリスクが高い」とも発表しています。

 

この通りになりますと、今年のアメリカの農作状況はかなり深刻になる可能性も出てきています。地域によってどんな作物が生産されているかにもよりますが、作物によっては、壊滅的になる可能性もないではないかもしれません。

 

こうなってくると、アメリカからの穀物(特に小麦)の輸入に大きく依存している日本の秋以降の食糧危機は本格的になる懸念もあるかもしれません。

 

NOAA のニュースリリースをご紹介します。

 

 


【春の展望:気温が高い状況の中で干ばつが拡大する】

Spring Outlook: Drought to expand amid warmer conditions
NOAA 2022/03/17

 

NOAAは本日、米国の春の見通しを発表し、2年連続で、平均以下の降水量となる可能性が最も高い米西部での長期にわたる持続的な干ばつを予測した。

 

国立気象局の一部である NOAA の気候予測センターは、4月から 6月にかけて、米国のほとんどの地域で、南西部から東海岸、北中西部からカナダ国境までの平均気温が平年を超えると予測している。

 

NOAAの気象予測センターの運用予測部門の責任者であるジョン・ゴッツシャルク氏は、次のように述べている。

 

「米国の 60%近くが軽度から極端な干ばつ状態を経験しており、これ 2013年以来の米国で見られた最大の範囲です」

 

最近、ノースカロライナ州からフロリダ州の一部を南下する地域で短期間の干ばつが発生した。乾燥した状態は、特に強風が存在する場合、南西部の平野と南部の平野、および中央部北の平野で山火事のリスクを高める。

 

南西部の干ばつ状態は、夏の終わりのモンスーン降雨が始まるまで改善する可能性は低い。

 

米国の半数以上がこの春、平均以上の気温を経験すると予測されており、ロッキー山脈南部と平原南部では過去最高の気温となる可能性がある。太平洋岸北西部とアラスカ南東部では、平均以下の気温の可能性がある。

 

平均を上回る降水量が予測されるのは、五大湖周辺、オハイオ渓谷、大西洋中部、アラスカ西海岸の一部となる。

 

降水量が平均を下回るのは、中央部の大平原地帯、南西部、ロッキー山脈中央部、南部、および中央部で予測される。

 

春の洪水リスク

米国本土の東半分の大部分(南東部、テネシー渓谷、ミシシッピ川下流域、オハイオバレー、五大湖の一部、ミシシッピ川上中流域を含む)全体に、軽度から中程度の洪水リスクがある。

 

米国西部では、春の雪の融雪が洪水を引き起こす可能性は低い。