世界で最も迅速にブースターショットを展開し、世界で初めて「 4回目のコロナワクチン接種」の実施に踏み切ったイスラエルについては、その感染状況や重症化数の動向をわりと日々見てきました。

 

イスラエルは、ワクチンあるいはブースター接種の「効果」を示す指標となる国だからです。

 

最近では、イスラエルは、ついに人口あたりの感染数で「世界ナンバー1」となったことを以下の記事で取りあげています。

 

イスラエルの人口あたりの感染数が「世界一」に。あまりの急増にイスラエル保健省のシステムがクラッシュし、感染数カウントを停止
投稿日:2022年1月25日

 

そして、イスラエルは今になり、再び新たな記録を打ち立てています。

 

「 1日の新たな死者数が過去最大」

 

となったのでした。

 

以下は、2月1日までのイスラエルのコロナ死者数の推移です。過去約 2年の全期間です。

 

 


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イスラエルでは、現在、第5波というようなことになっていますが、ちょうど1年ほど前の第3波に記録された 1日 101人の死者数を超えた、1日 121人の死者が、2月1日に記録されました。

 

デルタ株の流行期から現在までの新たな死者数の推移を見ますと、オミクロン株では、デルタを大幅に更新してきており、死亡事例の増加のスピードもデルタ株よりはるかに高いことがわかります。

 

 

デルタ株とオミクロン株の死者数の推移の比較

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日本では、「オミクロン株は重症率、致死率が低い」というように言われていますが、イスラエルでも同様の報道が見られます。

 

以下は、イスラエル国内の報道です。

 

Omicron subvariant more transmissible, but may not cause worse illness - expert
オミクロン株はより感染しやすいが、重症化を引き起こさないかもしれないと専門家たちは述べる

 

「致死率」などの観点からはそうなのかもしれないですが、しかし、イスラエルでも、あるいは欧米のいくつかの国でも、死者数そのものはすでにデルタ株を大きく超えているという現実があります。

 

病気というのは「感染率と致死率を総合的に考えるべき」ものであり、重症率、致死率が低いとしても、感染力がそれを上回るパワーを持っていれば、結果として、

 

「多数が亡くなる」

 

ということが、イスラエル、あるは現在の多くのヨーロッパの国のデータからわかります。おそらく今後の日本や韓国もある程度はそれに倣うと思われます。

 

(参考記事) オミクロンが軽い病気? 欧州各国のデルタを超える死亡数、そしてすでに出現しているオミクロンの新変異種による「永遠の再感染のループ」が導くもの
 In Deep 2022年1月22日

 

致死率が 10分の1の病気でも、感染率が 20倍なら、結果的に、死に至る事例は 2倍となるというようなことです。

 

イスラエルの死者数の増加と「ワクチン接種の歴史」を、改めて見てみますと、以下のようになっていました。★印が、ワクチン接種開始の時期です。

 

 


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これを見ますと、接種あるいはブースター接種が開始されるたびに、死者数が増加していることがわかります。

 

イスラエルの感染拡大のほうは、そのピークに達したとみられ、感染数は今後、短期間の間、減少していくと見られますが、オミクロンに見られる「死亡の遅延」が出てくるとした場合、死者数の増加はまだしばらく続くと思います。

 

昨年 11月に最初にオミクロンが検出された国のひとつである南アフリカでは、1月には感染数は大きく減少しましたが、いまだに「緩慢な死亡事例の増加」が続いていることがデータでわかります。

 

どうもオミクロンは、時間の経過と共にじわじわと死亡事例が増える場合もあるのかもしれませんが、イスラエルでも同じようなことになった場合、今後も死者数はゆっくりと増え続けていく可能性があります。

 

そして、その後、すぐに次の再感染の嵐がやってくると見られます。

 

ブースターを進めている国に終わりはないのです。

 

 

 

 

 

 

 

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